刺青除去と傷跡治療の違い
今までも「似て非なるものシリーズ」として
何回か出してきた重いテーマです。
傷跡で悩んでらっしゃる方は、
傷跡と刺青・タトゥーは似たものだと思って
似た治療法が有効だと思い込んでいるケースが多いようです。
六本木境クリニックが刺青やタトゥーの
除去治療をたくさん行っているため、
当然のごとく・・
リストカットやたばこ跡などの相談も多いです。
ですが、フラクシャナルレーザーや
ダーマローラーなど以外の治療は
ほとんどお勧めしていません。
しかも、当院のフラクショナルレーザーは、
最新型ではありませんし、
ダーマローラーは施術自体を行っていませんので
他院での治療をお勧めしています。
では、傷跡治療と刺青・タトゥー除去治療は、
何がどう違うのでしょうか?
刺青・タトゥー除去治療は、
刺青やタトゥーを傷跡に置き換える治療です。
だとしたら、リストカットなどの傷跡は
何に置き換えたら良いのでしょうか?
傷跡を何にできたらゴールと言えるのでしょうか?
そもそも傷跡をゼロにする方法は、
この世に存在しないのです。
傷跡を少しでもマシにできれば成功
ということが刺青・タトゥー除去とは
決定的に違います。
刺青・タトゥーの患者さんも
傷跡の患者さんも、このことを勘違いすると、
だまされる可能性が非常に高くなります。
リストカットやたばこ跡のように
前腕の傷跡については、特に要注意です。
その部位に何かがあることを悟られた時点で、
「リストカットやたばこ跡かもしれない」
と思われてしまいます。
よって、
傷跡が目立つ可能性がある手術などは
お勧めできません。
フラクシャナルレーザーやダーマローラーなどを用いて
1割くらいずつ目立ちにくくする
バントのような治療が間違いなく正解でしょう。
傷跡修正ではホームランを狙ってはいけません。
あくまでバントで・・・
最近は切除がダメだということが意外に知られてきて、
削皮を希望される方が多いのですが、
削皮であってもやるべきではないと思っています。
ご存知の方が多いと思うので、
くどいかもしれませんが・・
なぜ傷跡の切除が良くないのか?ということですが、
リストカットなど皮膚を面積で全く切り取っていない
切ったキズには創縁(キズの両端)に
引っ張る力(張力)はあまりかかりません。
そのため、そんなにひどい傷跡にはならず、
時間経過とともに落ち着いて、
最終的には一直線・線状の白い傷跡になります。
しかし、皮膚を「面積で切り取った」傷跡の場合は、
その切除幅に比例して、
絶えず引っ張る力(張力)が強くかかり、
赤黒い汚いケロイド状の
みみずばれのような傷跡になり、
いつまでも落ち着きません。
皮膚は伸びませんので
非常に大変なことになります。
傷跡修正でも刺青治療と同じように
まずは皮膚を切り取らないことが大切です。
形成外科医で真皮縫合という
中縫い・下縫いを丁寧に上手くかければ問題ないという
まことしやかな意見がありますが、
ハッキリ言って半分ウソです。
わたくしも形成外科専門医で
真皮縫合が特に好きな医者だと自負していますので、
上述の意見は全て形成外科医が
真皮縫合を上手くかけることが前提です。
そもそも形成外科医でない医師が
真皮縫合をかけない縫合をすることを
全く想定もしていないということです。
ある程度以上の皮膚を面積で切り取ると
溶ける糸で真皮縫合をかけた場合には、
すぐに幅広の傷跡ができて、
赤黒い盛り上がった芋虫の様な
ケロイドのような傷跡になります。
また、幅広の切除で溶けない糸で真皮縫合を行うと
張力の強いところから順番に
どんどん糸が表面に出てきて・・
つねに感染を繰り返しているように見えます。
何年も糸が出てきては臭い汁がしばらく出て
色素沈着で汚くなっている人からの相談は
意外にものすごい人数です。
その程度がひどい人は、皮膚が溶けたようになっていて
常に臭い汁が出続けていると言います。
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先日、テレビにまた出ました。
10回以上出たことがあるけど
いまだに緊張します。
TBSさんのNスタという
夕方の報道番組です。
いつものようにタトゥー除去特集でした。