眉下切開の真皮縫合はPDSなどの溶ける糸がいい?

前回は眉下切開の切り方について考えましたが、今回は縫い方について考えてみたいと思います。

眉下切開の縫い方についてのチェックポイント

  • 中縫いがPDSなどの溶ける糸
  • 中縫いが露出する
  • 皮膚縫いが連続縫合
  • 黒い糸は意外に目立つ
  • 抜糸が早すぎる

眉下切開の中縫い(真皮縫合など)の問題点

  • 中縫い(真皮縫合など)がPDSなどの溶ける糸
  • 中縫い(真皮縫合など)が露出する

眉下切開の傷跡は別格

わたくしはほとんどどのような手術でも中縫いが溶ける糸じゃない方が良いと思っていますが、特に眉下切開という手術は別格です。

上まぶたは目の表情のほとんど全てを担っていて、人の顔を見るとき、ほとんどの人は上まぶたを見ています。

そして、眉下切開では二重埋没・切開・眼瞼下垂の手術などのように傷跡が二重ラインの溝にかくれませんので、眉下切開の傷跡が目立つと悲惨極まりないです。

他の部分の手術ならいざしらず、眉下切開では傷跡が目立たないことが圧倒的に一番大切なことです。

たとえ、PDSなどの溶ける糸が1%でも溶けない糸よりも傷跡が目立つ可能性があるのでしたら、眉下切開に溶ける糸を使ってはいけないということです。

PDSなどの溶ける糸で縫うと眉下切開の傷跡が汚くなる?

ナイロンなどの溶けない糸で真皮縫合を行うと、PDSなどの溶ける糸で真皮縫合を行うよりも傷跡がきれいになることは昔から現在まで言われ続けていますし、わたくしもそうだと確信しています。

先日、半分を溶ける糸で半分を溶けない糸で中縫い・真皮縫合したという画像がSNSに上がっていましたが、溶ける糸で縫ったという半分の傷跡が赤く反応していてとても汚かったです。

溶けない糸の方が傷跡がキレイになると昔から確信している私でも・・そんなに違いがあるとは思っていなかったのであまりの違いにおどろかされました。

たぶん、何倍も赤みが強く、最終結果も何倍・ひょっとしたら何十倍も汚くなるはずです。

PDSなどの溶ける糸は反応が強いから溶けて、ナイロンなどの溶けない糸は反応が少ないから溶けないというのは自明の理であって、あたり前のことですよね。

わたくしは手術の傷跡に対して、溶けない糸で真皮縫合などの中縫いを行うようになってから、自分が縫合した傷跡に対して自信が持てるようになりました。

そのため、18年前からすべての手術で、溶ける糸を使うことはまずありません。眉下切開については12年前初めての手術・一例目から溶けない糸で中縫いを行い以後一度もPDSなどの溶けない糸を使ったことはありません。

そして、PDSなどの溶ける糸で真皮縫合を行っている他院で眉下切開を受けた後のとても汚い傷跡相談が来るたびに、わたくしの考えが正しかったことを確信し続けて、今現在も日々自信を深めるばかりです。

眉下切開に手遅れはない

「溶ける」と言うあたかも安全であるかのように聞こえる耳障りの良いことばを医療側は武器にしてはいけませんし、受けるかたも判断材料にしてはいけません。

医療は何が一番大切なことなのか、医師も受けるかたも十分に考えてから行うことが大切です。

わたくしは眉下切開に限っては傷跡がきれいになること以上に大切なことはないと思っています。

眉下切開では、PDSなどの溶ける糸で真皮縫合を行うかどうかのような過程よりも、傷跡がきれいかどうかと言った結果のほうがずっと大切なのです。

そして、眉下切開は美容外科の手術です。病気やケガの手術とは違って、手遅れというものがありません。十分に考えたり相談する時間があります。

現に、六本木境クリニックの眉下切開では10代から90代までのかたが受けられています。その事実だけでも、早すぎるも遅すぎるも全くない美容外科手術の特徴を表しています。

眉下切開の中縫い(真皮縫合など)が異物反応で露出する?

また、PDSなどの溶ける糸のほうがいわゆる異物反応を起こして露出しやすいです。なんども繰り返しますが、ナイロンなどの溶けない糸はほとんど反応しないので溶けず、溶ける糸は反応が強いから溶けるということは常識です。

反応が強い糸は異物反応を起こしやすく、まるで感染したように赤みが強くなって、膿が出て糸が露出し、抜糸を要する・・そのような記載がある場合にはかなり高確率でそのような現象が起きているということです。

異物反応を生じると、後から糸が出てきてその部分が目立つ傷跡になったり、傷跡に幅ができて幅広く赤黒いくぼんだ傷跡や盛り上がった肥厚性瘢痕になったりすることが多いです。

そして、異物反応を起こしやすかったり糸が露出するような状況は感染も起こしやすいと言えます。

一般的にPDSのような溶ける糸のほうが異物反応を起こしやすいと言われていますが、ナイロンのような溶けない糸を使ったのに中縫いが露出するケースは真皮縫合が浅すぎると言えます。

ちなみに、わたくしは12年間1000例くらい、六本木境クリニック開業から7年と少しでおよそ900例の眉下切開を行いましたが、今まで1例として異物反応で糸が露出したことも感染を起こしたこともありません。

眉下切開の同意書から異物反応や感染の記載を削除しようか?と日々考えてしまいます。それでも、異物反応や感染の記載は小さく残しています。

でも、六本木境クリニックの眉下切開の同意書には肥厚性瘢痕や傷跡が目立つという記載は全く存在しません。そのような記載はどう考えても必要ないからです。

肥厚性瘢痕の記載が同意書どころか、ホームページの眉下切開のところにもあるクリニックって・・どうなんでしょうか?

浅くて強い真皮縫合は眉毛の下に沿ったくぼみになる

PDSなどの溶ける糸を眉下切開の真皮縫合に使用した場合、もう一つ大きな問題があります。

PDSなどの溶ける糸は溶け始めると抗張力が弱くなってしまうので、強めに浅く真皮縫合をかけないとすぐにゆるんでしまい、傷跡に幅ができて赤黒くくぼんだリ、赤くて盛り上がった肥厚性瘢痕になってしまいます。

真皮縫合は深くかけるよりも浅くかけた方が抗張力が長持ちすることが知られています。

浅くかけることによって、糸が露出しやすく、異物反応や感染も起こしやすいと言えますし、眉毛の下に不自然なくぼみができてなかなか治らず4.5カ月や半年後くらいに相談に来られるかわいそうなかたもたくさんいらっしゃいます。

そのようなかたがたはダウンタイムは2週間くらいって聞いていたのですが、何と・・半年たった今でもダウンタイムなんですよってうつむいておっしゃいます。

眉下切開の真皮縫合が強く浅いケース、眉毛の下に沿ったくぼみが特徴です。このような場合には何か月経ってもくぼんだままのことが多い。

眉下切開についてはこちら

https://www.problem-eyelid.net/

https://roppongi-sakai-clinic.com/guidance/eyelids/

https://roppongi-sakai-clinic.com/faq_mayushita/