眉下切開で失敗しないコツ3

六本木境クリニック開業から眉下切開を約7年間で900例以上もやっていると、カウンセリングや手術を他院で受けたあとのかたからも相談を受けることが多くなります。

その中でも特にわたくしが「えっ!」て思ったことを取り上げながら、眉下切開で失敗しないコツを何回かに分けて考えてみます。

  • 真皮縫合などの中縫いが強い
  • 真皮縫合などの中縫いがいらない
  • 皮膚縫合が連続縫合
  • 眉下切開を眉毛側から切る
  • 眉下切開の手術時間が30分

前々回は眉下切開のダウンタイムが少ない方法をすすめられた話・眉下切開で肥厚性瘢痕になるリスクを言われるキズや傷跡をきれいにするための追加の治療をすすめられた話、

前回はトッピング的に眼輪筋や脂肪を取ることをすすめられるたり、まぶたがひきつれるのでと目頭切開をすすめられた話でした。

今回は主に手術方法について述べたいと思います。

眉下切開の真皮縫合が強い

眉下切開の真皮縫合が強すぎると言った相談が結構あります。眉下切開の真皮縫合が強すぎるかどうかについては、素人のかたでも簡単に分かります。

眉下切開の真皮縫合が強すぎると眉毛の下に眉毛に沿ったわりと規則正しいくぼみができます。

そして、眉下切開の真皮縫合が強い症例は同じクリニックから何人も相談にきますので、医師によって特徴やクセがあると言うことがいえます。

眉下切開でも有名な技術で売っている形成外科専門医兼美容外科専門医の開業医の先生に手術されたという犯罪クラスのすさまじい眉下切開症例の相談を受けたこともあります。そして、そこのクリニックからは似た症例が何人も繰り返し相談に来ます。

「こりないよね~」って話ではなくて、手術の結果はしばらく経過を診ないと結果の良しあしの判断がつかないものなのです。

何か手術方法を変えた場合、およそ半年間、最初のころに手術した人の経過を診ている期間は、何十人は同じように手術されて、数十人の似たような被害が出るという話なのです。

お顔の真皮縫合が強いとくぼみが残ることは形成外科では常識ですが、まぶたはその傾向が特に顕著でして、真皮縫合で一旦くぼんでしまうと、何年経ってもずーっとそのままのケースすらあると思われます。

わたくしも他院眉下切開の真皮縫合が強い人の経過を実際に何人か診たことがありますが、ほとんど改善したりはしません。

眉下切開で真皮縫合などの中縫いがいらない?

ここまでは眉下切開の真皮縫合が強くてくぼみが残ってしまうようなケースについてお伝えしましたが、逆のケースをお話しします。

以前、皮膚科専門医の先生から「眉下切開で真皮縫合などの中縫いを行わないのはダメでしょうか?」といった驚きの質問がありました。

皮膚科の専門医の先生でしたので、皮膚のことに対してそんなに詳しくない美容系の先生では、眉下切開に真皮縫合や眼輪筋の折り畳み縫いなどの下縫いを行っていない医師もいるのではないか?と思われます。

真皮縫合や眼輪筋の折り畳み縫いのような中縫いがない場合や少ない場合にはキズや傷跡が汚くなり、肥厚性瘢痕になってしまう可能性が高いでしょう。

肥厚性瘢痕とは赤みが強くミミズバレ状に盛り上がった傷跡のことで、本来、適切に行われた眉下切開とは無縁のものです。

ちなみに、わたくしの眉下切開では眼輪筋の折り畳み縫いに軽めの真皮縫合を交えるかたちで真皮縫合を行っています。

眉下切開で皮膚縫合が連続縫合

そして、何と・・眉下切開の皮膚縫合で連続縫合を行っている医師もいるそうです。

眉下切開の皮膚縫合で連続縫合を行っている医師は、眉下切開における皮膚縫合の重要さを理解できていないのでしょう。

皮膚縫合が少なかったり、皮膚縫合が弱かったりすると、創縁から浸出液が漏れ出るので、キズや傷跡が赤くなりやすく、赤みが落ち着くのに時間がかかります。そして、挙句の果てには溝状や白くテカった線状の傷跡となってしまいます。

また、皮膚を連続縫合で縫って強く結んでしまうと、創縁の血流が悪くなり、傷跡が汚くなります。

わたくしは眉下切開の皮膚縫合は結節縫合で1針1針細かく丁寧に時間をかけて行うようにしています。

眉下切開を眉毛側から切る

先日、眉下切開のカウンセリングに来られたかたから不思議な質問がありました。

眉下切開で眉毛側から切る医師と睫毛側から切る医師がいるけど、どちらが正解ですか?それともどちらもそれぞれ利点・欠点があるのでどちらでもいいのですか?と言ったものでした。

わたくしはほぼ全員が睫毛側から切っていて、眉毛側から切る医師はほとんどいないだろうと思っていたので、大変おどろきました。

手術というものはいろいろなやり方があって自由に選べるようなものではありません。ましてや・・美容外科手術は人様のお顔にわざわざ傷をつけるようなものですし、曲芸ではないので、あらゆる局面で少しでも有利な方法を選択して行わなければなりません。

その1つにまぶたの皮膚を切る順番があります。最初に正解から申し上げると、ほとんどどのような場合でも睫毛側から切ることが正解です。

眉毛側の皮膚は筋肉や骨と強固にくっついていて安定しています。先に睫毛側を切り離してもほとんど切りにくくなったりはしません。

しかし、睫毛側は目玉の上に浮いた状態でどこにも固定されていないので、眉毛側を先に切ってしまうと、ずっと切りにくくなってしまいます。

よって、眉下切開では睫毛側から切ることだけが正解であり、他の正解はありません。

眉下切開の手術時間が30分

眉下切開の手術時間が30分というのも信じられません。手際が悪くてもたもたしてやたらと時間がかかるのは一番問題ですが・・

若い頃に手術がとても速かったわたくしが、12年間1000例弱の眉下切開を経験した現在、2時間かけて眉下切開を行っているのですから・・

他の医師が似たようなクオリティーを出そうとすると3時間くらいかかるように思われます。

それを眉下切開の症例数がわたくしよりも少ない医師が、眉下切開の手術が30分や40分というのでしたら、間違いなく手抜きです。

眉下切開についてはこちら

https://www.problem-eyelid.net/

https://roppongi-sakai-clinic.com/guidance/eyelids/

https://roppongi-sakai-clinic.com/faq_mayushita/