「最近、まぶたが重い」「以前より二重幅が狭くなった」「目が開けにくい」と感じていても、その原因が眼瞼下垂なのか、加齢によるまぶたの皮膚のたるみなのか、自分では判断がつかない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、院長の境が、眼瞼下垂のセルフチェック方法や、眼瞼下垂とまぶたの皮膚のたるみの違いを解説します。
セルフチェックは、あくまでご自身のまぶたの状態を確認するための目安としてお役立てください。
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自分でできる眼瞼下垂のチェック方法
まず眉毛を指で持ち上げて、目の開き方が変わるかを確認してみてください。
指で持ち上げて皮膚のたるみによる影響をできるだけ減らしても、ほとんど目が開かない場合、眼瞼下垂の可能性が高いです。
一方、眉毛を持ち上げることで目が開きやすくなる場合は、まぶたの皮膚のたるみが開瞼を妨げており、眼瞼下垂ではないことがほとんどです。この場合には、眉下切開で、たるみによる目の開きづらさを改善できます。
なお、眉毛を持ち上げたときの目元が、当院の眉下切開後の仕上がりのイメージです。
医療機関で行われる眼瞼下垂症の検査法
現在、医療機関で行われている眼瞼下垂の重症度を調べる検査は、主に「MRD-1」と「挙筋機能検査」の2つです。
まぶたの下がり具合の検査MRD-1

Margin Reflex Distance: MRD-1は、まぶたの下がり具合を評価するために用いられます。リラックスして正面を見た状態で、「角膜に映る光の反射点」から「上まぶたの縁」までの距離を測ることで、上まぶたがどの程度下がっているのかを計測します。
眼瞼挙筋の働きを調べる挙筋機能検査
挙筋機能検査では、目を開く時の上まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の働きを調べます。眉が動かないように押さえた状態で、横にメジャーを添え、「できるだけ下」を見た時と「できるだけ上」を見たときの瞼縁の移動距離を計測します。
MRD-1と挙筋機能検査の問題点
「MRD-1」や「挙筋機能検査」の問題点は、まぶたの皮膚のたるみの影響が、十分に考慮されていないことです。
また、医療機関によっては、眉毛を強く押し下げた状態で検査を行い、実際よりも眼瞼下垂の重症度を高く評価している場合があります。
一方、まぶたの皮膚のたるみの影響まで考慮し、眼瞼下垂手術と眉下切開の両方を行っている形成外科医によると、眼瞼下垂手術が必要な人と眉下切開が必要な人は、同程度の数になるとのことでした。
それでも私は、目の開きづらさについては、眉下切開だけで改善できる人のほうが、はるかに多いという印象を持っています。こうした他の形成外科医との見解の違いは、私が行う眉下切開では、眼輪筋を折り畳んで縫合することで、強い吊り上げ効果が得られるためではないかと考えています。
眼瞼下垂症とまぶたの皮膚のたるみでは治療方法が異なる
眼瞼下垂症とまぶたの皮膚のたるみでは、必要となる治療方法が異なります。
私の経験上、まぶたの皮膚のたるみを感じるほとんどの人は、眼瞼下垂の手術を受けなくても、たるんだ皮膚を切除することで症状が改善します。
眼瞼下垂症は、高齢者であってもそれほど多い病気ではなく、挙筋前転法などの本格的な眼瞼下垂手術が必要な方は、とても少ないです。
これに対して、まぶたの皮膚のたるみは、20代後半から30代で感じ始める人もおり、年齢とともに進んでいきます。
まぶたの皮膚のたるみが原因なら、眉下切開

たるみによる目の開けづらさを改善するには、眉下切開が一番いいと思います。
眼瞼下垂の手術で、二重ラインに沿って皮膚のたるみをたくさん取ると、不自然な整形顔になったり、結果が安定しなかったりします。
そのため、まぶたの皮膚をたくさん取るのであれば、眉下切開のほうが適しています。
さらに、眉下切開では、たるんだ皮膚をたくさん取るだけでなく、眼輪筋の折り畳み縫いを効果的に行うことで、つり上げ効果も得られます。そのため、単なる皮膚のたるみの方はもちろん、軽症眼瞼下垂の人まで驚くほど改善できます。
眼瞼下垂症の手術には、まぶたをつり上げる前頭筋つり上げ術がありますが、眉下切開で眼輪筋を折り畳み縫いすることでも、同じようにつり上げ効果が得られます。つまり、軽症眼瞼下垂の人が眉下切開で改善するのは当然のことなのです。
重度の眼瞼下垂と診断された場合の治療法
重度の眼瞼下垂の主な治療は、眼瞼挙筋腱膜を縫い縮める挙筋前転法です。この治療のとき、二重ラインでまぶたのたるんだ皮膚を多く切除すると、結果が安定しにくく不自然な顔貌になることがあります。そのため、当院は眉下切開を併用したほうがよいと考えています。
眼瞼下垂の手術を受ける前に知っておきたいこと

眼瞼下垂の手術では不自然に見えることがある
眼瞼下垂の手術を受けたことで、「別人のような整形顔になった」と感じる人がいます。これは、まぶたの皮膚のたるみが原因で目が開きづらい人からも、眼瞼下垂症の人からも言われることです。
まぶたの皮膚は上側ほど厚いため、脂肪や眼輪筋をうまく処理できたとしても、二重ラインで皮膚のたるみを取れば取るほど、厚い皮膚で二重が形成され、独特な整形顔になります。
目尻のしわが悪化することがある
皮膚を切除すると、両端に「ドッグイヤー」と呼ばれる皮膚の余りによるふくらみが生じます。形成外科医が縫合によって目立ちにくくしても、ドッグイヤー自体は必ずできるものです。これが目尻にできると、しわが強調されて見えることが多くなります。
さらに、眼瞼下垂の手術を受けると必ず眉毛が下がるため、目尻のしわはさらに悪化します。
病的に重度の眼瞼下垂と軽度の眼瞼下垂の治療を分けて考える
病的に重度の眼瞼下垂症であれば、手術によって見た目が不自然になることは、ある程度仕方がないのかもしれません。
しかし、単にまぶたの皮膚のたるみによって目が開きづらい人や、軽度の眼瞼下垂の人が、眼瞼下垂の手術を受けたことで不自然な見た目になってしまうことについては、執刀医は罪深いことをしているように思います。
また、重度の眼瞼下垂症であっても、二重ラインでむやみに皮膚のたるみを切除するのではなく、眉下切開と挙筋前転を組み合わせたほうが、自然で美しい結果になると考えています。
眼瞼下垂セルフチェックに関する質問
●眼瞼下垂とはどんな症状ですか?
眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、上まぶたが下がり、目が開けづらくなる状態を指します。
視野が狭くなるだけでなく、目を開けようとしておでこに力が入るため、額のしわが増えることがあります。また、目の奥の痛みや眼精疲労による頭痛、肩こりなどもよく聞かれる症状です。
一方、まぶたの皮膚のたるみ(偽性眼瞼下垂)も代表的な開瞼抵抗の一つであり、真性眼瞼下垂と非常によく似た症状が現れます。
●眼瞼下垂になる原因はなんですか?
真性(本当の)眼瞼下垂になる原因は、筋膜のゆるみです。もともと筋膜が弱い人は、目をこするなどの刺激によって眼瞼下垂になりやすい傾向があります。
ただし、誰もが加齢によって、必ずしも眼瞼下垂になるわけではありません。虫歯になりやすい人となりにくい人がいるのと同じように、眼瞼下垂もなりやすい人となりにくい人がおり、むしろ眼瞼下垂になりにくい人のほうが多いです。
一方、まぶたの皮膚は誰でも加齢によってたるんでいきます。この皮膚のたるみによって目が開きづらくなるのが、偽性(偽の)眼瞼下垂です。
●眼瞼下垂になりやすい人はいますか?
眼瞼下垂になりやすい人はいます。花粉症やアトピー、アレルギーなどで目をこする習慣がある人や、ハードコンタクトレンズを使用している人がよく知られています。ただし、目をこする習慣があるからといって、誰もが眼瞼下垂になるわけではありません。
もともと眼瞼挙筋腱膜が弱い人、すなわち眼瞼下垂になりやすい人が、目をこすると眼瞼下垂になるので、ほとんどの人は心配しすぎなくていいと思います。実際、まぶたの皮膚がたるんでいる人は多い一方、眼瞼下垂の手術が必要な人は少ないことが、その証拠です。ちなみに、まぶたの皮膚は腱膜ほど丈夫ではないため、こするなどの刺激によって簡単にたるみます。
●まぶたの皮膚のたるみと眼瞼下垂は同時に起こりますか?
私の経験上、眼瞼下垂よりもまぶたの皮膚のたるみのほうが圧倒的に多いです。
眼瞼下垂がある人には、まぶたの皮膚のたるみもあります。ただし、まぶたの皮膚がたるんでいるからといって、眼瞼下垂とは限りません。実際に、眼瞼下垂ではない人がほとんどです。
●セルフチェックで目が開かなかった場合は何科を受診しますか?
私が提唱しているセルフチェックで目が開きにくい場合は、美容外科や眼科ではなく、形成外科か眼形成外科を受診するのが良いと思います。もちろん当院にお越しいただいてもかまいません。診察して他院のほうがよければ、紹介状をお書きします。
●眼瞼下垂の手術と眉下切開のどちらが先のほうがいいのでしょうか?
ポジショントークに聞こえると思いますが、私は眼瞼下垂の手術よりも、絶対に眉下切開を先に行うほうがいいと考えます。理由はシンプルです。眼瞼下垂の手術の後から眉下切開を行うと、二重ラインが下がって、切開した傷跡が上に上がります。その結果、あたかもまぶたに傷跡があるように見えてしまいます。反対に、先に眉下切開を行い、その後に眼瞼下垂の手術を行った場合には、このような現象は見られません。
また、前述のように、まぶたの皮膚のたるみのある人は大勢いますが、手術が必要なほどの眼瞼下垂の人は少ないです。私は、一生のうちに眼瞼下垂症になる人は、「極少数ではないか?」と疑っているほどです。一方、眼瞼下垂症の人も、ほとんどの場合、まぶたの皮膚にたるみがあります。そのため、いずれ眉下切開が必要になります。
