眉下切開後の洗顔はいつから?当日からOKな理由を正直に解説します

眉下切開のあと、
「洗顔はいつからできますか?」
という質問を、本当によく受けます。

ネットで調べると、
「抜糸まで洗顔禁止」
「傷口は濡らしてはいけない」
「洗うとしても、必ず避ける」
といった情報が、今でもたくさん出てきます。

正直に言うと、「それ、本当なの?」と思うことが少なくありません。

眉下切開は、切って縫う手術です。
だからこそ、洗えないと不便ですし、かえって危険なこともあります。

この記事では、

  • 眉下切開後の洗顔はいつから可能なのか
  • なぜ当院では手術当日から洗顔OKなのか
  • やってはいけない洗い方・注意点

について、形成外科医の立場から、正直にお話しします。

眉下切開のあと、洗顔は手術当日からOKです

当院の眉下切開では、手術当日から洗顔OKです。

しかも「傷口を避けて」ではありません。
傷口も含めて、洗顔料を使って洗ってもらっています。

眉下切開のように「切って縫う」手術では、

  • 抜糸まで洗顔できない
  • 傷口は濡らしてはいけない
  • 洗うとしても、必ず避けるように

と説明されることが、いまだに多いようです。

正直に言うと、洗顔ができないのはかなり不便ですし、合理的とも思えません。

1週間も顔を洗えないなんて、かゆくて、臭くて、地獄ですよね。ではなぜ、当院では真逆の説明をしているのか。次で、その理由を少し整理してみます。

「眉下切開後は洗顔禁止」と言われる理由を考えてみます

眉下切開後に
「洗顔は禁止です」
「傷は洗わないでください」
と言われる理由は、たぶんこうです。

「傷は安静にしたほうがいい」
という考え方です。

たしかに、ゴシゴシこすったり、強い刺激を加えるのはよくありません。

ただし、
洗うこと=刺激
と考えてしまうのは、少し短絡的だと思います。

そもそも、形成外科や外傷の世界では、
傷は“洗ったほうが安全”
という考え方が、今では当たり前です。

それなのに、

  • 洗わせない
  • 濡らさない
  • フィルムで覆う

という指示が出るのは、洗えない縫合状態である可能性も否定できません。

傷をピッタリ合わせて、丁寧に縫っていれば、洗顔で簡単に開くことはありません。

むしろ、洗わずに放置するほうが問題が起きやすい。

では、なぜそう言い切れるのか。
次で、もう少し具体的に説明します。

傷は洗ったほうが、ばい菌は確実に減ります

ばい菌は、乾いた皮膚そのものにたくさんいるわけではありません。
血液、皮脂、汗、汚れ。
そういった有機物の中で増えます。

つまり、
「洗わない・汚れが残る・蒸れる」
この状態のほうが、ばい菌にとってはよほど快適です。

消毒すれば大丈夫、と思われがちですが、消毒でばい菌を完全に殺すことはできません。

それどころか、消毒を続けると皮膚が荒れて、傷跡がどす黒く汚くなることすらあります。

だから当院では、
「洗顔料を使って、やさしく、傷口も含めて洗う」
ことを、手術当日からお願いしています。

洗ったほうが、

  • 汚れが落ちる
  • かゆみが減る
  • 無意識に掻かなくなる
  • 最終的な傷跡がきれいになる

という、当たり前の結果につながります。

「傷は洗わないほうがいい」という考え方は、今の形成外科の感覚からすると、かなり不思議です。

眉下切開後の正しい洗顔方法(当院の場合)

「当日から洗顔OK」と聞くと、どうやって洗えばいいのか?本当に大丈夫なのか?と不安になる方も多いと思います。

当院でお伝えしている洗顔方法は、特別なことは何もありません。

ポイントはたった一つ、やさしく洗うことです。

ゴシゴシこすったり、爪を立てたりするのは当然NGですが、泡で包むように洗う分には、まったく問題ありません。

むしろ、
きちんと洗ったほうが、

  • 血液や皮脂が落ちる
  • かゆみが減る
  • 傷を無意識に触らなくなる

というメリットがあります。

では、洗顔料はどうするのか。次でその点をはっきりさせます。

洗顔料は使った方がいいです(むしろ推奨)

当院では、洗顔料は使った方がいいと考えています。
というより、使ってください。

水だけで洗うと、血液や皮脂の汚れは十分に落ちません。

ばい菌は油汚れの中にいますから、洗顔料を使わないと意味がないんです。

もちろん、「刺激の強い洗顔料・スクラブ入り・ピーリング系」
こういったものは避けてください。

普段お使いの、ごく普通の洗顔料で十分です。

「傷口に洗顔料がついて大丈夫ですか?」と聞かれることがありますが、洗顔料がついても大丈夫です。

そもそも、傷につけられないようなものは、顔全体にも使わないほうがいいでしょう。

洗顔中に出血したら、ティッシュで圧迫しましょう

洗顔中に、少し血がにじむことがあります。

その場合、少し血がにじんでも慌てなくて大丈夫です。
ティッシュで、やや強めに1分ほど圧迫してください。

滅菌ガーゼである必要はありません。

むしろ、ガーゼよりティッシュのほうが、
「表面がなめらか・こすれにくい」
という点で、向いていることもあります。

それでも出血が止まらない場合は、もちろんご連絡ください。
ただし、ほとんどの場合は圧迫で止まります。

出血を怖がって洗わなくなるほうが、かえって問題です。

「傷を避けて洗う」「フィルムを貼る」は逆に危険です

「傷口は避けて洗ってください」
「フィルムを貼って、濡れないようにしてください」
こういった説明を受けた、という話をよく聞きます。

正直に言います。これらの行為は、かえって危険かもしれません。

傷を覆って洗うという行為は、言ってみれば、ビニールハウスでばい菌を培養しているようなものです。

  • 蒸れる
  • 汚れが落ちない
  • かゆくなる
  • 無意識に掻く

結果として、
傷跡が汚くなる可能性が高くなります。

また、フィルムやテープは、はがすときの刺激によって、
「毛が抜ける・皮膚トラブル」
といった別の問題も起こしがちです。

傷がピッタリ合って、丁寧に縫われていれば、覆う必要はありません。

洗って、清潔に保つ。これが一番シンプルで、安全です。

洗顔以外はいつからOK?(洗髪・メイク・入浴)

洗顔が当日からOKだと聞くと、
「じゃあ、洗髪はしてもいいの?」
「メイクはしてもいいの?」
「お風呂は入ってもいい?」
といったことも気になりますよね。

ここも結論からお話しします。

洗顔と同じ考え方で、OKなものと、注意が必要なものがあります。
順番に説明します。

洗髪・シャンプーも当日からOKです

当院の眉下切開では、洗髪・シャンプーも手術当日からOKです。

これも、洗顔と同じ理由です。

  • 汚れを落としたほうが清潔
  • かゆみが減る
  • 無意識に触らなくなる

というメリットがあります。

「傷にシャンプーがついて大丈夫ですか?」と聞かれることがありますが、基本的に問題ありません。

もちろん、傷を
「ゴリゴリ洗う、強い水圧を直接当てる」
こういったことは避けてください。

泡でやさしく洗って、シャワーで流すだけで十分です。

当院では、眉下切開の手術当日の朝に洗髪して来ていただき、
帰宅後も普通に洗ってもらう、
という流れをお願いしています。

洗えない期間があるほうが、よほどストレスが大きいと思います。

メイクも当日からできます(眉以外)

メイクについても、よく聞かれる質問の一つです。

結論としては、眉と目の周りを避ければ、手術当日からメイク可能です。

ファンデーションやチークなど、顔全体のメイクは問題ありません。

眉メイクについては、
パウダーやリキッド → 翌日からOK
ペンシルでゴリゴリ描く → しばらく控えたほうが無難
と考えています。

これは「絶対禁止」という話ではありませんが、ペンシルはどうしても刺激が強くなりがちです。

できれば、眉下切開の手術後

  • 2〜3カ月はペンシルを使わない
  • パウダーやリキッドで代用する

ほうが、最終的な傷跡はきれいになりやすいと思います。

当院で「家族にバレなかった」という話をよく聞くのは、直後からメイクできることも理由の一つかもしれません。

入浴は注意が必要、2〜3日は控えましょう

洗顔や洗髪は当日からOKですが、入浴だけは少し注意が必要です。

具体的には、湯舟につかる入浴は2〜3日ほど控えてください。

理由はシンプルで、体を温めると出血しやすくなるからです。

血液は全身をすごい勢いで循環しています。湯舟で体全体を温めると、眉下の傷口も温まり、内出血が悪化しやすくなります。

一方で、

  • シャワーだけにする
  • 湯船につかる場合は短時間、ぬるめ

であれば、手術当日から問題ありません。

基本的には真冬でも、室温をしっかり暖かくして、シャワーで済ませるようにしましょう。

当院の眉下切開が「洗顔は当日からOK」な理由

ここまで読んでいただくと、「なぜ、世間一般で言われていることと違うの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

理由はシンプルです。

傷を、丁寧に切って、丁寧に縫っているから。

当院の眉下切開では、

  • 単結節縫合で細かく縫い合わせる
  • 不必要な剥離をほとんど行わない
  • 手術中にゴミや毛の切れ端を徹底的に取り除く

といったことを、当たり前のこととして徹底しています。

その結果、
「傷がピッタリ合う・洗っても開かない・汚れが残りにくい」
という状態になります。

実際、当院では3000例以上の眉下切開を行っていますが、感染は1例も起きていません。

洗えないから安全なのではなく、洗える状態に仕上げているから安全なのです。

他院で眉下切開を受けた方へ

ここまでお話しした内容は、あくまで当院の眉下切開についての話です。

すでに他院で手術を受けている方は、まずは執刀医の指示を優先してください。

縫合方法や手術内容が違えば、術後管理も変わります。

ただし、

  • 説明に違和感がある
  • 不安が強い
  • 何となく納得できない

そう感じた場合は、セカンドオピニオンを受けること自体は、まったく悪いことではありません。もちろん、当院にご相談いただいても構いません。

眉下切開は、傷跡が目立つかどうかが結果を大きく左右する手術です。

納得したうえで、安心して経過を過ごしていただければと思います。

まとめ|眉下切開後の洗顔は、当日からOKです

この記事の内容を、最後に簡単にまとめます。

当院の眉下切開では、

  • 洗顔は手術当日からOK
  • 傷口も含めて、洗顔料を使ってやさしく洗う
  • 洗髪・シャンプーも当日から可能
  • メイクは眉以外なら当日からOK
  • 入浴で湯舟につかるのは2〜3日控える

という考え方で、術後管理を行っています。

傷は、洗わないほうが安全なのではありません。

きちんと切って、丁寧に縫えば、洗ったほうが安全
というのが、当院の考え方です。

もちろん、これはあくまで当院の眉下切開の場合の話です。

他院で手術を受けた方は、まずは執刀医の指示を優先してください。

ただし、「本当にそれでいいのかな?」と疑問を感じたら、一度立ち止まって考えてみることも大切だと思います。

眉下切開は、手術だけでなく術後の過ごし方も、最終的な傷跡を左右する手術です。

不安を減らし、納得した状態でダウンタイムを過ごしていただければ幸いです。