眉下切開という手術を12年前にはじめてから約1000例、以後その魅力に取りつかれて、開業から約7年で900例以上も眉下切開を行ってきました。
これだけの眉下切開を行ってくると、当然のように他院眉下切開修正も増えてきて
「先生がもう少し有名だったら・・先生のところで最初っから眉下切開を受けたのに」と頻回に言われるようになってきました。
眉下切開の手術も他の手術と同じように医師によって大きな差があります。
そして、その医師やそのクリニックの眉下切開の実力を知りたい場合、注意して見てほしいキモがいくつかあります。
そのことをずーっと述べてきました。初回はホームページやブログの記載について、2回目は静止画像・写真についてでした。
今回は動画について考えてみたいと思います。
手術動画
<切る順番>
六本木境クリニックに眉下切開カウンセリングで来られた方々からよく、睫毛側から切っている先生と眉毛側から切っている先生がいますが、どちらでもいいのでしょうか?と質問されます。
美容外科手術はわざわざ人の顔にキズを付けるのですから、手術には絶対があり、切る順番には鉄則があります。眉下切開などまぶたの手術ではかならず睫毛側から切ることが鉄則です。
眉毛側と睫毛側での条件は大きく異なっており、眉毛側は分厚い皮膚や皮下組織が筋肉や骨とくっついて固定されています。
一方、睫毛側はうすい皮膚とうすい皮下組織が目玉の上・宙に浮いており、いわゆる自由縁(フリーマージン)となっています。
眉毛側は睫毛側を切ったあとでも割と正確に切ることができますが、眉毛側を切り離してしまうと睫毛側はずっと切りにくくなってしまいます。
手術と言うのは曲芸ではないので、少しでもやりやすいようにあらゆる局面で取捨選択して全力を尽くすことが必要です。
手術ではいろいろなバリエーションが許されそうに思えますが、数学のように答えが1つしかない場面が多々あるということです。
眉下切開が上手い医者は必ず睫毛側から切ることになります。切る順番だけで実力がハッキリ分かります。
<真皮縫合・眼輪筋の折り畳み縫いなど>
あたり前のようなことですが、真皮縫合や眼輪筋の折り畳み縫いなど中縫いを丁寧に行っているか?と言うことも大切です。
何と・・皮膚科の専門医の先生から中縫いをしなくてもいいですか?と言う驚きの質問をされたことがあります。
真皮縫合や眼輪筋の折り畳み縫いなど中縫いが少なかったり緩すぎると、傷跡が汚くなりますし、その程度がひどい場合には、高確率で肥厚性瘢痕となってしまいます。
肥厚性瘢痕とは赤く盛り上がってかゆいミミズバレ状やケロイド状の非常に汚い傷跡です。
また、真皮縫合が強すぎないのかも重要な要素です。眉下切開で真皮縫合が強すぎるときは、ギャザーができて何ケ月も悩まされることになりますし、きれいな結果になることはまずありません。
お顔の手術で中縫い・真皮縫合を強くかけるとその形が残りやすいことは形成外科では常識です。
お顔の手術で中縫い・真皮縫合を強く行わなければならない場合は手術方法が何か決定的にまずいのだと思われます。
真皮縫合が非常に強い場合のギャザーはまるでイモムシのお腹のように見える
<皮膚縫合について>
また、皮膚縫合を1回ずつ結紮しない連続縫合で行う医師は総じて皮膚縫合を軽んじています。皮膚縫合の差による傷跡の差はとてもシビアです。
少しでも浸出液が漏れると、白い線や溝が目立つ傷跡になってしまいます。そのような傷跡は化粧でかくすことができません。
連続縫合はゆるくかけると、浸出液がたくさん漏れやすいですし、連続縫合を強くかけると、創縁の血行が悪くなり、汚い傷跡になってしまいます。
他院眉下切開修正手術前:眉下切開の真皮縫合が少し強すぎる場合、眉毛の下が不自然に盛り上がっている。このような場合、患者さんはひきつれという言葉を使うことが多い。
そして、透明な糸を使ってくれないところで眉下切開を受けると、抜糸までは結構激しく目立つことになります。
理想を言えば、結び目が小さくて目立たないので、2動作1回結紮をやってくれるところがいいのですが、結び目がほどけるとキズが開いて大量出血したり、ひどく汚い傷跡になったりして悲惨なので、よほど自信がある医師しか行わないように思います。
そして、糸は太ければ太いほど結び目がほどけやすいので、この方法は極細糸でしか不可能です。
でも、糸が細ければ細いほど繊細に扱わなければ切れやすいのですが、強く結ばなければほどけやすいため、丁度よい適度な強さで結び続けなければなりません。
その上、結び目が1つしかないということは、結び目にうぶ毛が入っただけでも極めてほどけやすくなります。よって、眉毛の中に下草のように生えているうぶ毛をよける作業を延々と繰り返すことになります。
2動作1回結紮法は極細糸を1針1針うぶ毛をよけながら100%集中して結ばなければなりません。
ちなみにわたくしはこの結び方を15年以上続けていますが、他の医師がこの方法で糸を結んでいるのを見たことがありません。でも、1回結紮法ではまるで結び目がないかのように見えます。
透明な糸や結び方などは、場合によりけりでして、すべての医師が無理してまで行うのもちょっとどうかと思います。わたくしも老眼ですので、いつまで続けることができるのか分かりません。
動画の目の付けどころ
- 睫毛側から切っている
- 中縫いを丁寧に行っている
- 連続縫合ではなくて1つずつ丁寧に結節縫合で皮膚縫いを行っている
- 透明や半透明の糸で皮膚を縫っている
眉下切開のきず(右):半透明青ナイロン糸での1回結紮法9日後、ノーメイクでも結び目が目立たない
眉下切開のきず(左):半透明青ナイロン糸での1回結紮法9日後、ノーメイクでも結び目が目立たない
眉下切開の手術道具
最近ではチタン製の持針器(榊・エムエーコーポレーション)を使用しています。
患者さんの目まわり動画
患者さんの目まわりの動きが分かる動画があったとき、見るべきポイントと判断方法をお伝えします。
まばたきのとき、二重部分がカクっと不自然な動きをすることやまぶたの内側に斜めに変な線が入ることがあります。そのような場合にはまぶたのバランスが悪くなっています。
まぶたが不自然な方向に引っ張られてひきつれているということです。多くの場合、外側だけを切り取られた眉下切開でそのような動きになっています。
眉下切開で眉頭の傷跡が目立つと悲惨だと言う話は有名すぎて、眉頭に切開を入れず、眉尻側・眉毛の外側だけに対して眉下切開を行う医師が多いようです。
そのような場合にはまぶたが外側に向かって引っ張られて、ひきつれ、まばたきするとまぶたの内側に斜めの不自然な線が入るようになります。
わたくしがそのような目で見てしまっているからでしょうか?
わたくしは今まで他院で眉下切開を受けたという人全員のまぶたにこの線が見えました。
このような線はまばたきの時だけに出現することが多く、自分では気づいていないことが多いようです。
でも、他に人から見たら完全に不自然で変ですよね。
眉下切開についてはこちら
https://www.problem-eyelid.net/
https://roppongi-sakai-clinic.com/guidance/eyelids/
https://roppongi-sakai-clinic.com/faq_mayushita/