眉下切開と眼瞼下垂の手術を取り巻く状況

世間には眼瞼下垂と言う言葉が流行っていて、眼瞼下垂の手術がたくさん行われています

学会で聞いたところによると、眼瞼下垂は形成外科医・美容外科医・眼科医がそれぞれ行っており、眼瞼下垂の手術の市場規模はとても大きいそうです。

一方、眉下切開も増えてきていますが、眼瞼下垂の手術では傷跡が二重にかくれるけど、眉下切開では傷跡が二重にかくれません。眉下切開は傷跡が目立つと悲惨なためか、眼瞼下垂の手術ほど多くはなさそうです。

誰でも彼でも眼瞼下垂??誰でも眼瞼下垂と診断して眼瞼下垂の手術をやりまくり・・大量に整形顔を作っている??医師がいるとかいないとか??

眼瞼下垂の手術の欠点

六本木境クリニックは眉下切開がとても多いクリニックです。去年も今年も200例を超える眉下切開を行ったほどです。

また、わたくしは眼瞼下垂の手術は20年前から行っていますので、まぶたのいろいろな相談で来られる方々がどうしても多くなります。その例外にもれず・・他院眼瞼下垂の手術後修正相談もたくさん来られています。

まぶたは自分も他人も細かいことまで気になる部位なので、不満の種類なんて・・いろいろあるだろうと誤解されがちですが、不満の種類は大きく分けると数種類しかありません。

そして、主な原因は4種類にまとめることができます。言い回しはさまざまですが、同じようなことや似たようなことを言っているケースばかりだということです。

まぶたの厚みによるもの

  • 1年以上経つけど腫れが引かない
  • 分厚い皮膚が二重の上に乗っかる
  • 二重が人工的
  • 二重が動きが悪くて無表情
  • 二重がカクカクっと二段階に不思議な動きをする
まぶたは上(眉毛側)に行けば行くほど分厚く、下(睫毛側)に行けば行くほど薄い

まぶたは上に行くほど急激に分厚い皮膚になっています。

眼瞼下垂の手術などで薄くてしなやか二重に理想的な皮膚を二重ラインで切り取ってしまうと、分厚い皮膚でできた動きの悪い不自然な二重になります。そのような場合、他の人から整形顔と思われます。

いわゆる昔の二重整形手術では二重ラインでたくさん皮膚を切り取ることが多かったので、多くの人の共通認識として、同じように二重ラインで皮膚を切り取ったまぶたを典型的な整形顔の目だと思うのです。

また、埋没で無理やり幅広二重を作った場合やたるみ埋没・切らない眼瞼下垂の手術でも似たような顔貌になっているケースが多く見られます。

そのような場合でも原理はほとんど同じで、二重ラインが分厚くて動きの悪いところに無理に作られると、二重ラインで皮膚を切り取った感じの外観になることが多いです。

でも、両者には決定的な違いがあります。皮膚切除ですと、戻しようがほとんどありませんが、埋没や切らない眼瞼下垂の手術では戻せる可能性があります。

誤解がないように申し上げておきますが、簡単に戻せるというわけではありません。

二重ラインでのまぶたのたるみ取り・上眼瞼形成術後の典型的な分厚い皮膚でできた二重

眼瞼下垂の手術など二重ラインの皮膚切除でできたドッグイヤーによるまぶたの変形相談

  • まぶたの内側にふくらみができた
  • まぶたの外側が垂れた
  • 内側が三重になった
  • 外側が三重になった

ドッグイヤーは形成外科では常識です。皮膚を切開するだけでは生じませんが、皮膚を切り取る(皮膚を切除する)と多かれ少なかれ必ずドッグイヤーが生じます。

特に内側のふくらみに対して脂肪を抜いたけど、ぜんぜん治らないと言った話が多く聞かれます。脂肪ではなくて、ドッグイヤーという皮膚の余りですから当たり前ですよね。

外側のドッグイヤーは垂れ下がって見えたり、目じりのしわのように見えることが多いようです。

ドッグイヤーは皮膚の余りですので、飛び出して見えることが多いのですが、場所や状況によっては、くぼんで見えることもあって、二重ラインの皮膚切除の後、内側や外側が三重になる現象はドッグイヤーの一種・ドッグイヤーによって二重ラインが不自然によれた状態だと思います。

そして、前述のようにたるみ埋没・埋没で幅広二重を無理に作った状態や切らない眼瞼下垂の手術でも、そっくりな現象が起きます。

でも、大きな違いは皮膚切除ではかなり治しにくいけど、糸で留める方法では簡単に治せるわけではありませんが、治せる可能性があります。

眼瞼下垂の手術・上眼瞼形成術のような二重ラインで皮膚切除を行った時のドッグイヤーの典型例

眉下切開でドッグイヤーが生じないわけではありませんが、二重ラインにドッグイヤーが生じるよりはずっとマシだと言えます。

眼瞼下垂の手術で前転しすぎた場合の相談

  • ビックリ目になった
  • パッチリしすぎた
  • ハトが豆鉄砲をくらったかのような目になった

眼瞼下垂の手術は目が開きやすいように受けるわけですが、何でも程度問題・・バランスが大切でして、目が開きすぎるとビックリしたような目になるわけです。

特に程度がひどい場合には睫毛が上を向いていたり、まぶたのきわ・睫毛のところに皮膚ではなくて、ピンク色の結膜が見えることになります。

通常、そのような人はいないので・・そのような場合、他人から見ると不自然で異様な感じに見えるようです。

眼瞼下垂の先生から「パッチリ二重になるますよ」「クッキリ二重になりますよ」なんて言われた場合のパッチリ二重やクッキリ二重とは、受けた患者さんの感想によると・・ビックリ目や整形顔のことが多いようです。

眼瞼下垂の手術後の典型的なビックリ目
眼瞼下垂の手術では黒目の外側が吊り上がったという相談も多い、眼瞼挙筋が外側のほうが強いから?手術のクセ?

前頭筋の力が抜けることによるもの

  • 目じりのシワが増えた
  • まぶたの外側が垂れた

眼瞼下垂などでまぶたの開きが悪い場合、前頭筋は常に緊張して視野を確保しようと頑張っています。そのため、眼瞼下垂の手術などでまぶたの開きが良くなると前頭筋の力が抜けて楽になります。

眼瞼下垂の手術、しわが減ったり、疲れにくくなったという話もあって、もともと悪いことではありませんが、前頭筋の力が抜けるとひたいの皮膚が目じりの方向に下がってきます。

このためまぶたの外側が垂れたり、目じりのシワが増えることになります。

眼瞼下垂の手術などでまぶたが開きやすくなると、ひたいの前頭筋の力が抜ける。ひたいの前頭筋の力が抜けると目じりの皮膚が下がる。

複数の要因によるもの

  • 目尻のしわが増えた
  • チワワのような目になった
  • 切れ長の目が短くなった

ドッグイヤーによってまぶたの外側の皮膚があまったところに、前述のように前頭筋の力がぬけてひたいの皮膚が覆いかぶさってくると、より目じりのしわが強調されます。

また、短い目やチワワのような目・丸っこい目と表現される現象は、眼瞼下垂の手術で前転しすぎることによって縦方向の開きがよくなることと、

前頭筋の力が抜けることやドッグイヤーによって、外側の皮膚が垂れて横が短くなり切れ長の目じゃなくなることがあいまって生じます。

 

次回、眉下切開と眼瞼下垂の手術に続く

 

 

眉下切開についてはこちら

https://www.problem-eyelid.net/

眉下切開についてはこちら

上まぶたのたるみ 総論/まぶたのたるみ(Part1)

眉下切開に関するよくある質問