眉下切開とアートメイクについて調べていると、
「セットで受けた方がいい」
「先にアートメイクを入れた方が傷跡が目立たない」
といった説明を目にすることがあると思います。
実際、カウンセリングや他院修正の相談でも、こうした話を聞いて不安になった、という方は少なくありません。
ただ、形成外科医として長年眉下切開を行ってきた立場から見ると、その考え方自体が、すでにズレていると感じるケースが多いのも事実です。
眉下切開は、傷跡の質で結果が決まる手術です。
一方、アートメイクは、流行や年齢変化の影響を強く受けるものです。
性質の違うこの二つを、安易に「セット」や「順番ありき」で考えてしまうと、後から修正が難しくなったり、後悔につながることがあります。
この記事では、眉下切開とアートメイクの関係について、誤解されやすいポイントを一つずつ整理しながら、本当に大切な考え方と正しい順番をお伝えします。
眉下切開とアートメイクは「セット」なのでしょうか
最近、「眉下切開とアートメイクはセットで受けた方がいいと言われました」という相談が、立て続けに増えています。
結論からお話しします。
眉下切開とアートメイクは、セットではありません。
むしろ、安易に「セット」として勧められること自体に、私は強い違和感を覚えます。
眉下切開は傷跡のクオリティがすべて、と言っていい手術です。一方、アートメイクはデザインや流行そして将来的な変化が大きく影響します。
性質のまったく違うものを、
「一緒にやった方がいいですよ」
と一括りにするのは、かなり乱暴です。
実際に相談を受けていると、
- 傷跡をごまかす前提のアートメイク
- 後戻りしにくいデザイン
- 将来の修正を考えていない説明を受ける
こうしたケースが少なくありません。
まず大前提として、
眉下切開とアートメイクは、同列に考えるものではない
ということを知っておいてください。
眉下切開の前にアートメイクを入れないでください
これは、はっきり言います。
眉下切開を受ける可能性があるなら、手術の前にアートメイクを入れないでください。
理由は単純です。
アートメイクを入れれば入れるほど、皮膚は硬くなり、正常な皮膚ではなくなります。
たとえ色が薄くなっていたとしても、一度でもアートメイクが入った皮膚は、瘢痕(=傷跡)と同じ状態です。
そうなると、
- 切開がやりにくい
- 縫合が難しくなる
- 修正の選択肢が減る
といった問題が起こります。
「アートメイクが入っている方が眉下切開がやりやすい」
という意見を見かけることがありますが、私はその考えには賛成できません。
それは、アートメイクがないと目立ってしまう傷跡が前提になっている可能性があるからです。
傷跡に自信がある手術であれば、アートメイクを前提にする必要はありません。
ですから当院では、眉下切開を検討している方には、手術前にアートメイクを入れないようお願いしています。
「アートメイクがあった方が傷跡が目立たない」は本当でしょうか?
これも、よくある誤解です。
「アートメイクがあった方が、眉下切開の傷跡が目立たないですよ」
この言葉、一見もっともらしく聞こえますよね。
でも、よく考えてみてください。
それはつまり、
アートメイクがないと目立つ傷跡になる
と言っているのと同じです。
眉下切開の傷跡は、少しでも目立てば、それだけでかなり気になります。人の視線は、自然と目の上、眉のあたりに集まります。
その場所に、「アートメイクがないと隠せない傷跡」が残るとしたら、それはとても勧められる状態ではありません。
実際、他院修正の相談では、
- 傷跡と眉毛が離れている
- 光が当たるとクッキリ見える
- メイクをしても誤魔化せない
こうしたケースが多く、
その結果として
「アートメイクで何とかできないか」
と悩まれる方が少なくありません。
本来、傷跡をアートメイクで隠す前提の手術であってはいけないのです。
眉下切開の「傷跡」をアートメイクで誤魔化していませんか?
他院修正の相談で、これもよく感じることがあります。
それは、本来きれいに仕上げるべき眉下切開の傷跡を、アートメイクで誤魔化そうとしているケースが多いということです。
たとえば、
- 傷跡が眉毛から離れている
- 直線的で、眉毛を連想させない
- 光の当たり方でクッキリ浮き出る
こうした状態になると、メイクだけでは限界があります。
そこで、「アートメイクで何とかできませんか?」という相談になるわけですが、これは順番が逆です。
本来、眉下切開は傷跡そのものが目立たないように仕上がっていなければならない手術です。
「消せばいい」「薄くなればいい」が成立しない理由
アートメイクについては、「気に入らなければレーザーで消せばいい」「薄くなったら問題ない」と説明されることがあります。しかし、現実はそれほど単純ではありません。
実際には、ピコレーザーなどの新しいレーザーを使っても、完全にきれいに消すことは難しいケースが多いです。色が抜けたように見えても、変色したり、まだらに残ったり、皮膚の質感が変わってしまうことも少なくありません。
眉毛のアートメイク眉アートは一度入れてしまうとピコレーザーでも簡単には消せないし、流行や気分だけでなく、まぶたのたるみや眼瞼下垂になっても二重埋没二重切開・眉下切開でも左右差が出たり気に入らなくなるので、若い人ほど眉毛がんばって描いて! https://t.co/7GtrdzUObk
— 六本木境クリニック (@roppongi_sakai) April 18, 2025
さらに重要なのは、レーザーを当てた皮膚そのものが瘢痕(傷跡)になるという点です。
つまり、
- アートメイクを入れる
- レーザーで除去する
- その結果、皮膚がさらに硬くなる
という流れになり、手術の難易度は確実に上がります。
そのうえで色を上塗りしてしまうと、色は濁り、修正の選択肢はどんどん減っていきます。
傷跡が気になるからアートメイク、ではなく、最初から傷跡が気にならない状態を目指すべきなのです。
眉下切開後にアートメイクを入れるのはアリか?
では逆に、「眉下切開をしたあとにアートメイクを入れるのはどうなのか?」という疑問も出てくると思います。
結論から言うと、
状況によってはアリですが、基本的には必要ありません。
当院の眉下切開では、
傷跡がきれいに仕上がるため、
手術後にアートメイクを入れる方は少数派です。
なぜ手術後「半年以上あける」のか
それでも、どうしても眉の左右差が気になる、メイクの時短をしたい、といった理由で希望される場合には、手術から半年以上あけてからアートメイクを検討してもらっています。
これは単なる目安ではありません。
手術後しばらくの間、皮膚はまだ完成しておらず、見た目が落ち着いていても内部では再構築が続いている状態です。
また、形成外科医として長年アートメイク除去を見てきた経験上、一度でも色を入れた皮膚は、正常な皮膚には戻らないと感じています。
だからこそ、安易に足す前に、時間をかけて本当に必要かを見極めてほしいのです。
タトゥー除去のピコレーザー10回デコボコでマダラになって汚くなっただけな人を目の当たりにすると、美容外科には目の前の人からお金をむしり取ることにしか興味がない変態がいるんだと気付かされます!アートメイク除去も似た感じなので眉毛のアートメイクは気軽に入れないこと? https://t.co/LdmF9I6VNI
— 六本木境クリニック (@roppongi_sakai) June 6, 2025
眉毛は年齢とともに確実に変わります。変えられないアートメイクよりも、自眉+メイクで調整できる余地を残すほうが、結果的に満足度は高くなるはずです。
他院眉下切開後の相談で多い「アートメイク絡みの失敗例」
他院で眉下切開を受けたあと、アートメイクが絡んで問題が複雑化している相談は、実際にとても多いです。
代表的なのは、次のようなケースです。
- 眉下切開で眉尻が下がったのを、アートメイクで無理に眉尻を上げている
- 傷跡と眉アートの位置が合っておらず、不自然に見える
- 上塗りを繰り返して色が濁り、かえって目立ってしまっている
特に多いのが、下がり眉をごまかすために眉尻を高くアートメイクを足してしまったケースです。
なぜ「時間が経つほど悪化する」のか
眉や目の開きは、単純な構造ではありません。
前頭筋、眼輪筋、眼瞼挙筋、ミュラー筋、皺眉筋など、複数の筋肉の綱引きによって成り立っています。
しかもこのバランスは、左右で必ず違います。
特に前頭筋は外側ほど影響が強く、眉尻ほど動きやすく、下がりやすいという特徴があります。そのため、アートメイクで長く・高く描いた眉ほど、時間が経つにつれてズレが目立ちやすくなります。
結果として、
- 眉尻だけが強く下がる
- 左右差が拡大する
- ボトックスに頼り続ける
といった状態に陥ります。
しかも、ボトックスには抗体の問題があり、いずれ効かなくなる可能性もあります。
すでに眉毛のアートメイクが入っている方は、これ以上「足さないでください」
すでに眉毛のアートメイクが入っている方も、いらっしゃると思います。
その場合に、私から必ずお伝えしているのは、これ以上アートメイクを足さないでくださいということです。
アートメイクは、入れれば入れるほど皮膚が硬くなります。
色が薄くなっていても、皮膚の性質は元に戻りません。
その状態でさらにリタッチや上塗りを繰り返すと、
- 手術操作がどんどん難しくなる
- 修正できる余地が狭くなる
- 将来的に後悔する可能性が高くなる
といった問題が起こります。
「少し足せばよくなる気がする」
「左右差を直したいだけ」
そう思う気持ちは分かります。
しかし実際には、足せば足すほど引き返せなくなるケースの方が圧倒的に多いのです。
眉下切開を検討している、あるいは将来修正が必要になる可能性が少しでもあるなら、今の状態をこれ以上悪化させないことが何より重要です。
すでに入っているものをどうこうする前に、「これ以上入れない」という判断が、結果的に一番の近道になることもあります。
当院の眉下切開とデザインの考え方(アートメイクとの違い)
当院の眉下切開のデザインは、アートメイクを基準には考えていません。
私が重視しているのは、
- 普段、その方がどんな眉を描いているか
- 周囲からどのように見られているか
- 開瞼時と閉瞼時で眉がどう動くか
といった、生きた状態の眉と目の関係です。
カウンセリングでは、普段どおり眉を描いて来ていただくこともありますし、眉毛の描き方が特徴的な場合には、「それはお好みですか?」と確認することもあります。
一方で、デザインの最終段階では、洗顔で眉メイクを完全に落とした状態で行います。
目を閉じ、前頭筋をしっかり弛緩させた状態で、「開けたときにどう見せたいか」を頭の中で再現しながらデザインします。
この工程を省いて、すでに入っているアートメイクの形をそのまま基準にデザインしてしまうと、必ず下がり眉になります。
実際、他院修正で多いのは、先に入れたアートメイクに沿ったデザインで手術した結果、時間の経過とともに眉尻が強く下がってしまったケースです。
眉毛は、前頭筋の影響を強く受けます。
特に眉尻ほど動きが大きく、変化も顕著です。
だからこそ当院では、変えられないアートメイクではなく、変えられる自眉とメイクを前提に、眉下切開のデザインを行っています。
この考え方の違いが、術後すぐだけでなく、数年後の満足度の差につながると考えています。
「眉を落として」デザインする
私は眉下切開のデザインの最終段階で、洗顔で眉メイクを完全に落とし、目を閉じ、前頭筋をしっかり弛緩させた状態で行います。
これは、筋肉の影響をできるだけ排除した本来の位置関係を見るためです。
この工程を省き、すでに入っているアートメイクの形を基準にしてしまうと、必ず下がり眉になります。
傷跡は「眉毛を連想させる形」でなければならない
毛根斜切断法で切開しますと、眉毛側の皮膚はより厚く、睫毛側の皮膚はより薄くなります。厚みの大きな違いを踏まえますと、上側のデザインに近い傷跡になりますから「眉毛の一部のように見える」上側のデザインを行う必要があります。
この考え方があるからこそ、アートメイクに頼らなくても違和感の少ない仕上がりが可能になります。
変えられないアートメイクではなく、変えられる自眉とメイクを前提にする。この違いが、数年後の満足度の差につながると考えています。
まとめ|眉下切開とアートメイクの「正しい順番」
ここまでの内容を、最後に整理します。
まず大前提として、
眉下切開とアートメイクは「セット」ではありません。
眉下切開を検討している段階で、
- 傷跡をアートメイクで隠す前提
- アートメイクを基準にしたデザイン
- 先に色を足してから切るという発想
こうした考え方は、基本的におすすめできません。
眉下切開は、傷跡そのものが目立たない状態に仕上げるべき手術です。
そのため、
- 眉下切開の前にアートメイクを入れない
- すでに入っている場合は、これ以上足さない
- 修正や将来の変化を見据えて選択肢を残す
という判断が、とても重要になります。
眉下切開後にアートメイクを入れるかどうかは、状態や希望によって判断する余地はありますが、多くの場合、必須ではありません。
変えられないアートメイクよりも、変えられる自眉とメイクで調整できる余地を残す方が、長い目で見て満足度は高くなります。
結論として、理想的な順番は「眉下切開 → 必要であればアートメイク」です。
順番を誤らなければ、余計な修正や後悔を避けることができます。
眉下切開とアートメイクで迷っている方は、「今きれいに見えるか」だけでなく、数年後も納得できるかどうかを基準に考えてみてください。
誤解がないように、まぶたのたるみもまぶたの厚ぼったさも軽度の眼瞼下垂もまぶたのくぼみの多くも・・眉毛のアートメイクを先に入れてしまっていても他の手術より眉下切開がおすすめです。
当院では先にアートメイクを入れてしまったかたでも眉尻のアートメイクを切り取ったり眉頭まで切って眉頭側にローテートしたり中縫いの仕方を左右でかえたり満足していただけるようさまざまな工夫を行っています。眉下切開 アートメイク
