わたくしは切って縫うことが大好きですし、
切って縫うことが得意だと自負している形成外科医です。
わたくしの眉下切開の動画を見ていただけると、
そのクオリティーを分かっていただけると思います。
実際、六本木境クリニックで眉下切開をお受けになった方々から、
「眉下切開のキズや傷跡がこんなにキレイなので、
切って縫うフェイスリフトもやって欲しい」
と、よく言われますが、それでも、
スプリングスレッドに全力投球し続けています。
そのような医者が、
あえて糸の施術・スプリングスレッドを
真剣に行うことについて、意義を述べたいと思います。
お顔のあちこち・さまざまな部位を
切って剥がしたことがある形成外科医じゃないと
本当の意味で、糸が上手くなることはないと思います。
解剖実習はやらないよりは
やった方がいいに決まっていますが、
たまに解剖実習で確認するだけでは、
実践で役立つはずがないと言えるでしょう。
また、ベテランの美容外科医であっても、
フェイスリフトの手術でいつも型どおりに
顔面神経よりも浅い部分ばかりを見ていたのでは、
気が付かないことが多々あるでしょう。
顔面骨骨折の手術や骨切り、耳下腺腫瘍などで
いつもいつも本当に顔面神経のことを
心配ながらの手術経験がないと、本当の意味では、
解剖を理解しているとは言えないでしょう。
わたくしは長崎大学形成外科出身ですが、
当時の教授と助教授(現教授)が、
それぞれ骨切りとマイクロサージェリーの専門でしたので
来る日も来る日も骨切りと耳鼻科のガンばかり・・
かなり偏った形成外科の経験を積みました。
また顔面骨骨折の手術が多い
救急病院ばかりに勤務していましたし、
耳下腺腫瘍は個人的に興味があったため、
耳鼻科の先生や形成外科の上司の助手をさせてもらったり
自分でも執刀したりしていました。
表層だけを見ているのと、
深いところまで経験して
苦しんだことがあるのとでは、
巨大な差があります。
たまに観光に来て、
表通りやコテコテの観光地だけを見たり、
地図を眺めているだけと、
近くに20年住んでいるのとでは雲泥の差です。
実際に住んでみて、嫌なところや汚いところまで
肌身に感じ続けていた方が
深いところまでの理解につながるかもしれません。
わたくしは、九州の形成外科医が
東京の美容外科に来て、2年で開業した
というかなりめずらしい経歴の医者です。
自分から見たわたくし個人の利点ですが・・
形成外科でいろいろなものを見て、
実際に経験してきたということが
大きな利点となっていると思います。
切るフェイスリフトと糸の施術を
あえて年を取ってから経験したからこそ
目に見えてくるものがあると思うのです。
若い頃から美容外科でフェイスリフトを
たくさんやっていたとしても、
いつも型どおりに、顔面神経よりも浅い部分ばかりを
繰り返し見ていたのでは、
型にはまった考え方になるかもしれません。
また、同じ糸だったら、
誰が入れてもそんなに変わらないだろう
という意見もあると思いますが、
効果が全くない他の糸だったら差がない
というのはある意味真実でしょう。
しかし、スプリングスレッドのように
強力で本当に効果があるものについては、
事情が著しく異なってきます。
医者によっては、本当に本当に大きな差が出ます。
また、すごく当たり前のことですが、
糸を馬鹿にしている医者が
糸の施術を上手くなることは絶対にあり得ません。
わたくしはスプリングスレッドを崇拝して、
毎日毎日、全力投球で施術しています。
これを1年も繰り返すと、
そんな熱意のない医者との差は
百倍に開くことは疑いもないでしょう。
毎回、目の前の1本の糸を入れたら
2週間の休暇だと思いこんで、
1本1本、完全に力を出し切って、
丁寧に入れています。
そのような感覚で入れている医者と
スプリングスレッドを他の糸と同じように
普通に入れている医者とでは、
勝負になるはずがありません。
ほとんど信心に近い感覚です。
はじめてこの糸に出会った時は、
神が作ったかのような1万年以上前の遺跡や
はるか昔に作られて滅んでしまった
超高度な文明の遺産・オーパーツにでも
出会ったような衝撃を受けました。
本当にろくなものがないたるみ治療の中で
圧倒的な存在だと確信しました。
実際に他院でスプリングスレッドを入れて
すぐに抜きたいという相談は非常に多いのですが、
六本木境クリニックでは、3年間1人もいません。