スプリングスレッドとはどんな手術か?

スプリングスレッドの手術の概要と手順

強力な固定性と伸び縮みがある溶けない糸リフトを挿入することにより、長期的なお顔のたるみ改善・リフトアップ効果をねらう手術です。

糸の素材はポリエステル骨格シリコンコーティングで1cmあたり24個のコグによる強力な固定性と伸び縮みがあることが特徴です。

前日か前々日に術者により剃毛、よく洗髪後に来院、洗顔(刺入予定部と周囲までよく洗う)後、局所麻酔下、耳前部に11番メスで小さな穴を開けて穴周囲の皮下剥離後、糸を挿入します。

この小さな針穴は浸出液が出るので、糸を挿入後すぐに7-0ナイロンで縫合します。

その後、坐位でお顔側の糸を調整後、頭側の糸を調整し頭部を揉んでなじませた後、坐位で再び確認してお顔を揉んでなじませ終了とします。

スプリングスレッドの手術の概要と手順

スプリングスレッドの手術の時間はどのくらいかかるか

六本木境クリニックのスプリングスレッドはガーゼの線維やうぶ毛などの異物が入らないようにデコボコしないように慎重に入れています。

また、お顔側の糸を調整後、頭側の糸を調整していますので、2時間かかります。

また、前日剃毛や抜糸まで含めるとご遠方のかたは2泊3日、お近くの方も前々日の剃毛と抜糸(翌日から2週間前後)まで含めると3回の通院が必要となります。

しかし、時間をかけず適当にスプリングスレッドのように強力な効果がある溶けない糸を入れられてしまうと、デコボコやひきつれに何年も苦しむことになります。

【糸の写真】

1cmあたり24個の丈夫なコグが付いているので、強固な固定性がある
1cmあたり24個の丈夫なコグが付いているので、強固な固定性がある
糸の両端に鈍針が付いており、いわゆる両端針となっている
糸の両端に鈍針が付いており、いわゆる両端針となっている

糸の写真

プリングスレッドの価格

六本木境クリニックのスプリングスレッドは12本90万円(消費税含む)です。

麻酔代は込みですが、局所麻酔のみで、静脈麻酔や笑気麻酔はありません。お薬代はおよそ3,000円です。

上記の通り、手術では903,000円がかかりますが、それとは別に初診料が3,000円、採血検査代が12,000円かかりますので、総額918,000円ということです。

スプリンススレッドのメリットについて

■効果・他の施術との違いや優れているところ

お顔のたるみのリフトアップ(フェイスリフト)効果をねらった施術は多いのですが、照射系たるみ治療や溶ける糸リフトなどでは長期的効果を望めるはずがありません。

それどころか、リフトアップ効果はほとんどなくて、腫れている期間だけ目の錯覚でわずかなリフトアップ効果風のものを感じられるだけではないかとさえ疑ってしまいます。

ちなみに、お顔の脂肪吸引やバッカルファット除去・メーラーファット除去などにリフトアップ効果はなく、脂肪が減ると皮膚があまるのでたるむ傾向があります。

反対に、ヒアルロン酸・脂肪・脂肪幹細胞・成長因子などの注入系治療では若く見えるけど大きな顔になりますし、その上、重みがあるため重力で下がります。

効果・他の施術との違いや優れているところ

実際のところ、本当にリフトアップできそうな施術は切るフェイスリフトか引き上げタイプの強力な糸しかありません。

しかし、切開リフトや他の強力な糸などではお顔の側面・耳の前あたりの組織移動ばかりが大きいので、お顔の正面効果は少ないことが常です。

スプリングスレッドでは伸縮性があり細くてしなやかなのに固定力が強いため、口回りのようなよく動かす部位にもギリギリまで糸を入れることができます。

なおかつ、伸縮性を上手く利用すると、お顔の正面の組織移動ほど大きいので・効果を出したいところほど効果が出せることが最大の長所です。

このため、多くの人がお顔のリフトアップ、フェイスリフトという言葉に期待する通りの長期効果を実現できる施術だと言えます。

無数のコグが糸の全長についており伸び縮みがあるので1つ1つのコグにかかる負荷がほとんどゼロに近いためコグが外れたり損傷する可能性が低く、持続効果が非常に長いことも特徴です。

効果・他の施術との違いや優れているところ

その一方で、スプリングスレッドのような強力な糸で引き上げると、余った皮膚はどこに行くの?

だから、余った皮膚を切り取ることができる切るフェイスリフトがすぐれているんだ・・などと言ったまことしやかな意見があります。

本当でしょうか?
どうも・・この意見は真っ赤なウソのようです。

スプリングスレッドだとまんべんなく皮膚を真ん中に向かってバネのように縮ませているけど、切開リフトでは切開線の上に階段状に皮膚が見苦しくあまっている人が多いのですが、有名な先生のガッツリ系フェイスリフトほどその傾向が強いので、

・切るフェイスリフト自体を良い治療ではない?
・ただの昔の手術ではないのか?

などと疑ってしまいます。

効果・他の施術との違いや優れているところ

効果・他の施術との違いや優れているところ

施術 リフトアップ 持続時間 侵襲 リスク コスパ
スプリングスレッド 10 10 2 3 10
切開リフト(フェイスリフト) 0〜5 10 5〜10 5〜10 1〜5
ミントリフト 5 1 2 2 2
他の溶ける糸リフト 0〜2 0〜1 2 2 1
照射系(レーザー・高周波・超音波) 0 0 1 1 0

■スプリングスレッドの特徴

素材

溶けない ポリエステル骨格・シリコンコーティング
形状・性質
1cmあたり24個のコグがついていて伸び縮む

ダウンタイム

ほうれい線・マリオネットラインなどの口回りは皮膚がやわらかいが、
糸が細くてしなやか伸び縮むので上手く入れるとデコボコしにくい
なれない所で入れるとデコボコして長期間治らない

効果

伸び縮みを利用・糸の端ほど持ち上がるので
一番効果を出したい正面効果が強い

効果の持続

固定しないので重みが一点集中することなく、無数の箇所に分散、伸縮性もあるため極めて後もどりにくい
数年後でも若さが保たれることが多い

リスク

感染は比較的多いとされているので慣れたところで受けたほうがいい
感染した場合には糸が抜きやすく糸を抜けば治まることがほとんど

■溶ける糸リフトの特徴

素材

溶ける PDO(ポリジオキサノン)PLA(ポリ乳酸)PCL(ポリカプロラクトン)など
2年前後で加水分解され吸収されると言われている

形状・性質

コグやコーンの形状はさまざま 伸び縮みはない

ダウンタイム・効果

ほうれい線・マリオネットラインなどの口回りは皮膚がやわらかいので
糸を入れるとデコボコしやすい

効果

・デコボコしないように側面中心に糸を入れると正面効果がとぼしい
・効果を出すためには過矯正と言って、最初は引き連れさせる

効果の持続

・側頭筋膜のように丈夫な組織に固定すると長持ちしそうに思えるが固定すると重みが一点にかかるので後戻りしやすい
・どのような素材の溶ける糸をどんな方法で入れても1~2か月で戻ったと言われることが多い

リスク

感染は比較的少ないと言われているが、いったん感染すると糸が溶けていて抜くことができないので、
非常に長期間赤く腫れて痛くて大変

スプリングスレッドのデメリットについて

スプリングスレッドの副作用・後遺症

顔面神経や耳下腺導管など重要なものを損傷すると顔面神経麻痺など重篤な合併症が生じると言えますが、形成外科専門医のように顔面の解剖に精通している医師の施術では極めてまれだと思われます。

比較的高頻度の合併症は感染や異物反応ですが、ポリエステルやシリコンなどの無機物が感染などを生じるとは考えにくいです。

感染などは受けたかたの不注意や術後ケアの良しあしによって生じるのではなく、主な原因はうぶ毛やガーゼの線維などが糸に付着して一緒に体内に入ることだと考えられますので、その対策が重要です。

スプリングスレッドのダウンタイム

ダウンタイムは大きく分けると内出血や腫れとヒキツレ・デコボコの2つに分けられます。

内出血や腫れについては個人差が大きく何とも言えない部分がありますし、わずかな腫れは2~3か月と言えます。

でも、翌日には口回りがスッキリしたこととあいまって、かえって「やせた?」と言われることが多いようです。

内出血は最高にひどいと完全に消えるまでに2週間くらいかかりますが、コンシーラで何ともならない人はめったにいないので、マスクができる人はいつ受けてもかまわないと説明しています。

そして、実際に六本木境クリニックでは土日を利用して受ける人が多いです。

スプリングスレッドのヒキツレ・デコボコ

デコボコ・ヒキツレについては受ける人の体質やお顔立ちによる差が少なく、執刀医の経験がものを言います。このことについては、わたくし自身の経験に基づいて自信を持って言えます。

わたくしも昔はデコボコさせたことがありましたが、最近はデコボコすることがほとんどありません。

溶ける糸などでデコボコしても効果が短いぶん、すぐに戻るので全く心配いりませんが、スプリングスレッドで一旦デコボコしてしまうと、かなり長い間悩まされます。何と・・4年後に相談に来られたことすらあります。

下手なスプリングスレッドではデコボコやひきつれによるダウンタイムが5年以上続くこともありそうです。

スプリングスレッドはこんな人におすすめ

やせ型の人には向かないという意見が一般によく言われていますが、拒食症で30kgしかない人も受けたことがありますので、お顔立ちで向かない人はいないと思います。また、平均年齢は45歳ですが、24歳から78歳までが受けています。

そして、若い頃に受けた方が老けにくいので理想的だという意見には反対です。

確かにそのような側面もあるのですが・・ただ、溶けない糸は感染以外の理由では簡単に抜けませんし、どんどん足して行くと感染などのリスクが高くなります。

ですので、40歳前後からの施術が理想的です。

切るフェイスリフト後のかたは皮下が硬くて手術がやりにくく、リスクがあらゆる高くなることも想定できますが、一番喜ばれる層であることも見逃せません。

切開リフトや他の糸リフトなどを受けたことがあって、比較対象がハッキリしている方ほど喜ばれる傾向にあります。

切るより効果があるなんて・・どういうこと?同じ糸リフトなのにこの効果の違いは?ってところでしょうか?

スプリングスレッドの症例

スプリングスレッド 症例 その1

ビフォーアフター01

40代女性、スプリングスレッド12本、左の画像(術前)は、あご下がたるみ間延びして長い顔になっています。

右の画像(術後6カ月)ではあご下の形がシャープになって、まるで顔が短縮したかのように見えます。

・費用
伸び縮みのある溶けない糸のリフトアップ施術
12本 90万円
他院フェイスリフト後など
12本 100・110万円

・その他にかかる費用
麻酔代:無料 安全対策と施術のクオリティーのため、すべて局所麻酔で行っています。
お薬代:約3,000円 初診料:3,000円 採血検査代:12,000円

・リスク・副作用など
比較的多いもの内出血・腫れ
感染のリスクがある
感染した場合には抗生物質が効かず
感染した糸を1本抜くことが必要となる
(※まれに複数本の糸を抜くことがある)

スプリングスレッド 症例 その2

ビフォーアフター02

20代女性、20代前半からずっとエステでマッサージを受けていたためたるんだのか、同年代の人よりも老けて見られたそうです。

右の画像は術後1か月、ほうれい線の下半分やマリオネットラインが消失し、フェイスラインがキレイになっています。

ほうれい線の上の方も影が減ってずいぶん浅く見えます。

スプリングスレッド 症例 その3

ビフォーアフター03

30代女性、スプリングスレッド12本、右の画像は術後5年、ほうれい線の下半分やマリオネットラインが消失し、フェイスラインがキレイになっています。

ほうれい線の上の方も影が減ってずいぶん浅く見えます。

このかたはこの期間にずいぶんやせたそうですが、やせて脂肪のボリュームが減ると、通常はまるで風船がしぼむかのようにたるんでマリオネットラインやほうれい線などが目立つ傾向にあります。

この症例では逆に目立たなくなっていますので、スプリングスレッドの強力な長期効果を証明していると言えます。

スプリングスレッドのよくある質問

効果はどれくらい続きますか?
糸なので何とも言えない部分がありますが、スプリングスレッドについてはこのことを論じることの意味はないとすら思っています。

いかにも永久的な効果がありそうに思える切るフェイスリフトすら永久ではないし、肝心の正面効果をそんなに感じなかったと言う話が多く聞かれます。

ましてや、他の糸リフトについてはロクな話がありません。以前わたくしは2年持つという糸を施術していたのですが、1カ月で元に戻ったと散々言われ続けて、スプリングスレッドに替えたらとても人気が出ました。

何よりもいろいろな手術を受けたことがあるかたが全員、その効果と持続期間について驚かれています。

また、スプリングスレッドを入れた後、3年後や5年後に眉下切開などの相談に来られた方々のあまりの若さにわたくしがいつも驚いています。

そして、スプリングスレッドの長期効果を裏付けるような話が頻回に聞かれます。

代表的な事例として、スプリングスレッドを入れて5年後の人が物足りなくなって、切開するフェイスリフトを受けたのですが、おそらくその切開が原因でスプリングスレッドが感染して糸を抜いたそうです。

そしたら、スプリングスレッドを入れていたころよりもずっと下がったし、口回りが老けてしまったそうです。

痛みはありますか?
六本木境クリニックでは静脈麻酔や笑気麻酔を使わずに、局所麻酔だけで手術を行いますので、局所麻酔を打つ時が最も痛いですが、その後の痛みはマイルドです。

頬の重みを側頭部で支える手術なので、手術後しばらく側頭部の違和感はありますが、通常、激痛はなく、切るフェイスリフトや他の糸リフトよりも術後の痛みは少ないくらいです。

ちなみに、当院ではスプリングスレッドをどこにも固定しないストレート法と言う方法で入れているのですが、同じスプリングスレッドでも側頭筋膜に固定されると長い間食事の時にかむとすごく痛いらしいです。

側頭筋膜のような痛覚が強烈な部位に固定すると痛いようです。

以前、側頭筋膜固定の溶ける糸リフトをやっていたころ、いつも2カ月くらい激痛を訴えられていました。何度も受ける人はそのような状況をよく知っていて、流動食を前もって準備していました。

傷は残りますか?
傷は感染などが生じなければほとんど残らないと考えていただいてよいです。

頬や側頭上部のような刺出部の針穴は1mmなので、すぐに目立たなくなりますし、耳前部の11番メスで開けた小さな穴は1mm以上ありますが、丁寧に縫合しているくらいですので、比較的早期に目立たなくなります。

切開して入れるような糸リフトでは、いかに傷跡が小さくても美容師さんは分かっていて言えないだけだと言われていますが、当院でスプリングスレッドを入れた穴は美容師さんにも気が付かれることがありません。

また、感染して抜くケースでも傷跡はかなり小さく、通常はもみ上げの部分なので目立たないです。

入浴や洗顔はいつからできますか?
入浴や洗顔は手術の当日からできますが、当院の手術のルール上、朝風呂・朝シャンプーを義務づけていますので、手術当日は2度お風呂に入ることになります。

また、傷口をぬらさないようにさけてとよく言われますが、そのような方法では蒸れるので、かゆくてくさいです。

当院の手術では傷口中心に洗顔剤やシャンプーをつけて洗ってもらいますので、かゆかったりくさかったりといったことがありません。

受けられない人は?
重症内科疾患と精神疾患のかたくらいです。

また、こめかみにプロテーゼが入っているかたは難しい場合があります。

メイクはいつからできますか?
メイクは当日から可能です。
何回受けることができますか?
溶けない糸で感染のリスクもあります。

非常にたくさんの糸を入れてしまうと感染などの問題が生じた際、複数の糸を抜くことが予想されます。

そのため、むやみに糸を増やすことはおすすめしていませんが、希望もあって12本を2回、合計24本いれている方々は結構な人数いらっしゃいます。

スプリングスレッドを入れた後、切開リフトを受けることができますか?
スプリングスレッドを入れたあと、切開リフトを受けて感染した人がいるのでおすすめできません。
その人はかえって下がったと後悔されていたので、スプリングスレッドを入れたら切開リフトの必要性はないと思います。
境先生アイコン

Dr.境のコメント

 

スプリングスレッドの長所は、切るフェイスリフトや他の糸のリフトアップ施術では改善が難しいお顔の中心部や首のたるみにも(目の下、ゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットライン、フェイスライン、首など)リフトアップ効果を期待できるということです。

もうひとつ特筆すべき点は、目の下やゴルゴライン・ほほのくぼみ(頬骨の下のくぼみ)などの陥凹部の改善にも効果的ということです。

たるんで下に移動してしまった頬の脂肪やあご下の脂肪を上方の元あった場所へ移動させて陥凹部に充填するといったイメージです。

この場合、前方の糸は下に凸のカーブをかけて、ハンモックのように支えながら後上方へ引っ張って、上へ移動させるようにしています。

六本木境クリニックでは、スプリングスレッドの伸び縮みする特性を生かし、結果を安定させるために、お顔の正面部分から頭まで連続して糸を入れる方法・ストレート法をお勧めしています。

側頭部に糸を固定する方法や糸をエックス状にする方法では、固定部や連結部で痛みやゆるみが生じやすいと考えられます。

六本木境クリニックで行っているストレート法は、微調整がしやすく、スプリングスレッドの伸び縮みする特性を生かすことができる方法だと思います。

術後の感染対策について>