眉下切開の傷跡を目立たなくする方法

他院眉下切開の修正で気づいたこと

わたくしは12年前から眉下切開を行っており、開業7年と少しで、850例を超える眉下切開を行っています。

そして、いつもブログやコラムなどでも眉下切開について発信してきましたので、他院修正相談のかたもたくさん来られます。

最近、眉下切開を他院で行った後の修正希望のかたが激増しています。
そして、そのことによって気づかされたことがあります。

他院の眉下切開後では眉毛のかたちに無関係な眉下切開の傷跡に出くわすことが多く、そのような場合、きれいな傷跡になっていても人目を引きやすいようです。

そのような症例を診ていると、美容外科・形成外科的手術の基本であるエステティックユニット、すなはち、お顔をパーツ・パーツに分けて考えることが大事だということを痛感させられます。

基本に忠実な手術を行うことが、まさに眉下切開(眉下リフト)のキモだと思われます。

眉毛と無関係な雰囲気の眉下切開の傷跡

毛包斜切断法と眉毛全長切開法による眉下切開

わたくしのお勧めの眉下切開手術方法毛包斜切断による眉毛の形にそった眉毛全長切開です。

毛包斜切断とは毛根を切らないように斜めに切開するという方法ではなくて、
あえて斜めに毛包を切断・断裂させて、術後に傷跡から再発毛させる方法です。

毛包斜切断による眉毛全長切開はカモフラージュ効果が高く、眉下切開の手術直後から傷口が人にばれにくいです。

また、眉下切開の傷跡だけじゃなくて極初期のキズも目立たなくするためには、半透明な極細糸による外科結紮1回結び法も大切な要素です。

結び目(ノッド)が1つなので、結び目がゆるむと傷口が開きやすく、自信がないとなかなかできない方法ではありますが、結び目がとても小さく・・半透明な極細糸で行うと、まるで結び目がないかのように見えます。

これらの方法を駆使した結果、六本木境クリニックの眉下切開を受けられた方々のお話では95%以上(いや99%かもしれませんが・・)ほとんどの方で眉毛の傷や傷跡がバレていません。

毛包斜切断法による眉下切開の欠点1

毛包斜切断による眉毛の形にそった眉下切開・眉毛全長切開の欠点トラップドアー(飾り窓変形)といって弧状に描いた眉毛の内側、すなわち眉毛の下、まぶたがモコッと 古墳のように盛り上がることです。

 

<トラップドアー現象(飾り窓変形)>
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トラップドア変形(飾り窓変形)の機序:断面

 

このトラップドアー(飾り窓変形)という現象は眉毛の形に沿った眉下切開・眉毛全長切開のような弧を描いたようなカーブがかかった傷跡では多かれ少なかれ必発です。

そして、毛包斜切断と言う方法では薄い皮膚が分厚い皮膚の方に乗りあがる現象がありますので、なおさら、このトラップドアが強調されることになります。

うすい皮膚が乗り上げる現象 このことによって傷跡が階段状になり トラップドアがより目立つことになる

 

このことは眉毛の端から端まで扇状にまんべんなく引き伸ばすことと
睫毛側の断端を低く縫うことによって十分に予防できます。

 

眉下切開での理想的な縫い方 まぶたを扇状に伸ばす 外側に引っ張るとヒキツレて吊り目になる
毛包斜切断法による眉下切開の縫い方 トラップドア予防のため うすい皮膚の方を低く縫う

 

でも、実際に他院眉下切開修正で来られるかたで、トラップドアー(飾り窓変形)がひどい人はごくまれです。トラップドアーという現象が形成外科では有名すぎます。

多くの医師が眉下切開を行う時に、このトラップドアーを警戒するあまり・・直線状の吊り上がったキズにしてしまっています。

そして、このような場合には眉下切開を受けると、眉毛がほとんどなくなったり、ヤンキーのような眉毛になります。

左はよく見る眉毛と関係ない傷跡と外側がなくなったヤンキーのような眉毛 、右は眉下切開後のトラップドア変形

毛包斜切断法の欠点2

毛包斜切断法の一番大きな欠点は1つ1つの手技が大変難しくなり、上皮成分が入り込みやすいことです。

斜め切りした薄い方の皮膚は極めてちぎれやすいので、1つ1つの操作のときに細心の注意を払い続けなければなりません。

少しでも気を抜く瞬間があると皮膚がちぎれて、目に見えないような細かいギザギザの断端部の上皮成分が創部に入り込んでしまいます。

毛包斜切断では薄い方の皮膚がちぎれやすい、ちぎれた皮膚片が創部に入り混むだけでなく、ちぎれたあとのギザギザの断端も上皮迷入の原因となる

また、薄い皮膚は内側にクルクルとローリングします。このことでも、創部に上皮成分が入り込みやすいし、皮膚縫いが少ないと糸と糸との間がインバートして上皮成分が入りこみますので、

わたくしの眉下切開は皮膚縫いだけでも片側40針くらい縫っています。

そして、眉下切開の手術では1縫いごとに極細セッシで上皮成分が入り込んでいないか(インバートしていないか)を確認しています。

1回の眉下切開手術に対しておよそ80回この確認を繰り返しているというわけです。何と・・筋肉の折り畳み縫いまでを含めると1回の眉下切開手術で100回くらい縫っています。

毛包斜切断法では薄い方の皮膚がローリング(インバート)しやすい、このことも上皮成分迷入の原因である

 

毛包斜切断法での創縁がちぎれにくくインバート(ローリング)しにくい縫い方

上皮成分が創部に入り込んでしまうと、アテロームなどが多発して凸凹でマダラの汚い傷跡:毛包斜切断法を用いない傷跡よりもはるかに汚い傷跡となります。

このようなことがよく知られているので、毛包斜切断法による眉下切開法が普及しないのです。

ちなみに、毛包斜切断法を行わなければ、上手く縫えないといつまでも赤く、上手く縫っても程度の差こそあれ、必ず白い一本線か溝状の傷跡になります。

眉下切開後の傷跡の赤みがいつまでも引かない(おそらく、肥厚性瘢痕になっている)という形成外科専門医からの笑えない相談もあります。

 

毛包斜切断法の最近気づいた利点

毛包斜切断法は接着面が広いことや傷口から発毛することによって眉下切開の傷跡が目立たないだけではなく、上側の切開線が安定するといった利点があります。

このことが眉下切開の傷跡が目立たないことに一番寄与している可能性すらあるとわたくしは考えています。

眉下切開の手術のとき、いくらエステティックユニット、すなはち、お顔をパーツ・パーツに分けて強く意識したとしても、縫合したあとの傷跡が安定しなければ、変な形の傷跡になってしまいます。

このことに気が付いてからは、わたくしの眉下切開では自分自身や周りの人がその人の眉毛だと思っている雰囲気の傷跡に仕上げることがより確実にできるようになりました。

眉下切開の手術のとき、眉毛を描いている人は眉毛を描いてきてもらい、その雰囲気の傷跡になるようにしています。

眉下切開で毛包斜切断法を用いると、上側の切開線が安定して、上側の切開線とほぼ同じような傷跡になる、このことによって、エステティックユニットを意識した結果になりやすい

最近では都内の形成外科や美容外科の先生方から
眉下切開のご紹介があり、うれしいかぎりです。

 

眉下切開についてはこちら

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