眉下切開の傷跡
眉下切開で患者さんの体質によっては肥厚性瘢痕になることがあるそうです。もしどうだとしたら、最悪の失敗ですよね。
実際に後輩からそんな質問がありますが、わたくしの反応は「ウソでしょ・・ありえないよ~とりあえず、六本木境クリニックの眉下切開を一度見学に来てみたら??」って感じです。
眉下切開を12年間で1000例近く行いましたが、肥厚性瘢痕になった傷跡は間違いなくゼロでしたし、肥厚性瘢痕になるかもしれないと心配になったことすら皆無です。
眉下切開での切り方や縫い方が何か決定的に おかしいか、創縁などの扱い・1つ1つの操作が粗いとしか考えられません。
そもそも、肥厚性瘢痕になったときのいいわけが眉下切開を受けた人の体質ですって、ありえないでしょ。
胸や肩に自然発生的なケロイドがキノコのようにニョキニョキ生えてくる人ならいざ知らず・・そうでない人では眉下切開の傷跡が目立ったり、肥厚性瘢痕になるのは間違いなく執刀医の責任です。
でも、わたくしは胸や肩にケロイドがある人に対しても眉下切開を行ったことがありますが、傷跡は全然目立ちませんでした。
わたくしも眉下切開の傷跡が消えるなんて本気で思ってはいませんが、眉下切開の傷跡は上手く行えば、スッピンでも誰からもバレないようになることがほとんどです。
そして、眉下切開の傷跡が目立って困ったことやお叱りを受けたことがほとんどなく、ましてや眉下切開で肥厚性瘢痕になる可能性があるなんて・・今まで一度も考えたことがありませんでした。
肥厚性瘢痕とはケロイド状の傷跡のことで、まるでミミズのように赤く盛り上がってかゆい傷跡です。
眉下切開の傷跡と薬
わたくしもヒルドイドやステロイド外用薬・ステロイド局注、ケロコート(シリコンジェル)やリザベン(トラニラスト)などについて、眉下切開希望のかたや眉下切開後のかたから質問されることがあります。
最近も、患者さんと次のようなやり取りがあったばかりです。
「アットノン(市販の傷跡をきれいにするという塗り薬)塗った方がいいですか?」
「塗らないほうがいいです。薬と言うのは不具合が生じているのを改善するためのものです。何も不具合が生じていない理想的な状態の傷跡に対して薬を使ってしまうと副作用しかありません。」
まだ、眉下切開を受けるかたや受けたかたからの質問はいいのですが、医師からも似たような質問が多いから何とも不思議です。
医師からの質問は、眉下切開を自分でもやっていて、どんなに頑張っても傷跡がキレイにならないものだから、ひょっとしたら、何か簡単なコツがあるのかもしれないって思ったからこそ・・心の底から湧き起こったんだろうと思います。
でも、ずれているんですよね。味噌はそこではありません。手術に王道なしです。魔法のような抜け道なんてありっこえないので、とことんまじめに1つ1つの手技をひたすら丁寧に丁寧に行うことが大事だということです。
わたくしは世間では平均手術時間30分のこの眉下切開という手術をまるで山奥にこもっている修行者のように2時間かけて丁寧に日々ずーっと10年以上行っています。
誤解がないように申し上げておきますけど、わたくしが肥厚性瘢痕やその薬・治療法に無関心であったり、知識が少ないわけではありません。
20年以上前にはじめたやけどの治療・現在まで行っている刺青やタトゥー除去の削皮などは眉下切開と比較にならないほど、肥厚性瘢痕とのたたかいがついてまわります。
眉下切開の傷跡と再生医療
そして、眉下切開について再生医療的な質問もありますが、みんな・・かなり大きくずれているように感じます。
いろいろ、再生医療や高額な薬を湯水のように使用したところで、良くて・・3か月で傷跡が落ち着くところが2カ月で落ち着いたと言った感じでしょう。
逆に眉下切開では、手術操作の基本中の基本である切って縫うことが雑だと、どんなにいろいろな手を尽くして何年経っても落ち着かなかったり、汚い傷跡になってしまいます。
それどころか、いろんな薬や再生医療ってキレイな傷跡に使っても百害あって一利なしかもしれません。病気の薬だって、病気の人に使ってこそ・・ですよね。健康な人に使っても副作用が出るくらいのものです。
でも、本当は多くの医師が、眉下切開では切って縫う技術の差が一番巨大であって、自分が切って縫って上手く行かないので高額な薬や再生医療などを差別化のために使うしかない。
それでも上手く切って縫った傷跡ほどにはキレイになることはないということに気付いています。
でも、とりあえず儲けないといけないし・・スタッフを食わせないといけない・・経営者としてはそれ以上の正義はない。と思っているのかもしれません。
そう言った考え方は物販だったらいいでのでしょうけど・・医療というのは人間相手の仕事なので、それでいいわけはない・・と、わたくしは思うんですけど
特に追加料金で傷跡の治療を行っている場合にはトッピング的、外食産業のような考え方ですよね。自分で汚くした傷跡の治療によく追加料金を取ることができますよね。
でも、資本主義の世界ではどんなに患者さんに迷惑をかけても儲けが上手い医師が生き残ります。
価値観の違いについては議論しても何も得られるものがないのであえて、学会などでは言い合いにはならないようにしていますが・・でも、正しいことを世間に伝えたいとはいつも思います。
眉下切開の傷跡をいろいろと手を尽くしてキレイにするというのは、キレイに切って縫えないからそのような表現を用いていたり傷跡に自信がない場合の言い訳に過ぎないケースがあるので要注意です。
体質の差ですって??医師の技術の差をごまかすための言葉にしか聞こえないのはわたくしだけでしょうか?
手術に王道なし、丁寧に切って丁寧に縫っていれば何も余分な物事を使わなくても、キレイになる・・でも、そうじゃなかったら、形成外科の存在意義がないようなものですよね。
形成外科では若い頃皮膚縫いを徹底的に叩き込まれ、救急で呼ばれても嫌な顔一つせずに365日24時間と言ってもいいくらい縫いまくっていたような医師がたくさんいますので、
形成外科専門医のなかには縫うことが得意な人が結構いると思います。
傷跡が目立たない工夫
わたくしが、傷跡や肥厚性瘢痕について断言できることは、一にもに二も三にも手術手技の問題だということです。たぶん術後処置とか、薬や再生医療チックな話なんて・・わたくしの頭の中では一切登場しませんし、もし登場する機会があったとしても10番目以下だと思われます。眉下切開の傷跡については切って縫う技術の差が非常に巨大でして、他のことは財布のなかの小銭のようなものだと捉えていただけますと、だまされることがありません。
次回、実際の方法に続く・・
眉下切開についてはこちら
https://www.problem-eyelid.net/
眉下切開についてはこちら