刺青・タトゥー除去治療は方針が変わりやすい

レーザーや切除と言ったメジャーな刺青・タトゥー除去施術

いつも、レーザーや切除と言ったメジャーな刺青・タトゥー除去施術についてお伝えしています。

レーザーによる刺青・タトゥー除去は多くの場合・・薄くなるだけの治療、医者の「消えます」と言う言葉をうのみにしてはいけません。

メーカーの話やメーカーが見せる欧米人のチャンピオン症例画像を見て心の底からそう信じ切っているのかもしれませんし、高い最新のピコレーザーを買ってしまったので、何としても売り上げを上げなければならないのかもしれません。

レーザーによる治療自体、色素のうすい白人のほうが有色人種よりも有利なことが知られています。わたくしの経験上、日本の刺青やタトゥーよりも海外のタトゥーの方が墨も墨を入れた時にできる傷跡もずっと少ないように思います。欧米のチャンピオン症例画像はまったくあてにはなりません。

刺青・タトゥーのレーザーによる除去治療 日本での典型例

 

切除は小さな刺青やタトゥーの除去だけが適応です。大きなものについては植皮や削皮(剥皮)しか確実に刺青やタトゥーを取る方法はありません

この大きなものという言葉が曲者でして、どんなに何回に分割した分割切除でも、一般に考えられている大きさよりもずっと小さなものしか、刺青やタトゥーを無理なく取ることができません。

刺青やタトゥーの除去の分野植皮や削皮(剥皮)がメジャーになりえない理由はただ一つ、植皮や削皮(剥皮)を上手くできる医師が少数派だからです。

これら2つの手術では、おおよそ形成外科の専門医のなかでも熱傷治療(やけどの手術)を得意とする医師以外はスタートラインに立つことすら難しいでしょう。

刺青やタトゥーに対しての植皮・皮膚移植術

植皮・皮膚移植術では周囲との境界が目立ち、上手く行った削皮よりはキレイになりませんし、ドナーと言って植えるための皮膚を取った部位:太ももなどにも傷跡が残るのでおすすめできません。

二の腕(上腕)の上の方・肩近くが削皮1年後、下の方・肘近くが植皮1年後

刺青やタトゥーに対しての削皮・剥皮(皮膚剥削術)

削皮・剥皮(皮膚剥削術)の方法はすぐに思いつくだけでも下記のようにさまざまなものがあります。

  • 炭酸ガスレーザー
  • エルビウムヤグレーザー
  • グラインダー
  • 剥削刀
  • カミソリ
  • 電動式デルマトーム
  • フリーハンドデルマトーム

上に行くほど、数が多いと思いますが、わたくしはフリーハンドデルマトームというやけどの手術用具を使用して大まかに削ったあと、墨が残った細かいところを時間をかけてカミソリで削っています。

炭酸ガスレーザーとエルビウムヤグレーザーは熱による損傷があるので深くなりグラインダーは摩擦による損傷があるので深くなると考えられます。

また、他院で剥削刀による削皮・剥皮を受けた後の相談はなぜか・・今まで全員模様のように見えました。模様のような傷跡になると、刺青やタトゥーを連想させるので、大失敗と言えます。

カミソリは小範囲には使用しやすいのですが、ストッパーがついていないので慣れていない医師が行うととても深くなりやすいです。

電動式デルマトームもフリーハンドデルマトームも、やけどの手術道具ですが、フリーハンドのほうが微調整が効いていろいろと使い勝手が良かったです。

われわれやけどの手術をたくさんやっていた形成外科医にとって、電動式デルマトームフリーハンドが上手く使えない医者がやむを得ずに使うような道具だとされています。

 

エルビウムヤグレーザーによる削皮・剥皮、3か月も臭い汁が出続けている。削皮・剥皮は2週間で上皮化する程度の深さに削るべきである。2週間で上皮化できないような刺青やタトゥーの削皮・剥皮は肥厚性瘢痕になったりロクな結果はないので、ある意味失敗と言える。

刺青やタトゥーに対する削皮・剥皮の場合、わたくしは追加レーザーを必ず行います。

最初からそう説明していない場合、後から言えばただの言い訳ですよね。刺青やタトゥーの除去治療を受けている人から失敗されたと思われても仕方がありません。

何と・・刺青・タトゥー削皮・剥皮でも治療方針が変わることがあるようです。その場合には植皮にかわったり、一部を切り取ったりするようです。一部を切り取ったり削りなおしたりするのはまだ分かります。

植皮になることがあるという話や上皮化に2週間以上かかることがあるという話は削皮・剥皮の手技自体に自信がなかったり、削り方が深すぎる・雑すぎるということですので、間違いなく失敗すると断言できます。

手術を受ける側の個人差なんて数%の違いでしかありません。

手術結果に大きな差が生じる場合、99%以上は医者の技術の差だったり、手術の種類・方法の差だったりといったことに起因します。

特に刺青・タトゥーの削皮・剥皮はミクロ単位の削る深さの違いによって、ケロイド状の傷跡(肥厚性瘢痕)になったり、墨が残ったりと結果が大きく変わってきます

受けた人が失敗されたと感じる結果のほとんどは医者の責任だと言うことです。

墨が少し残るよりも肥厚性瘢痕になったほうがずっと気の毒に思えるので、わたくしも長年やればやるほど、削り直し手術が増えました。刺青・タトゥーの削皮・剥皮を行って植皮になってしまう場合には深く削りすぎですよね。

よく、形成外科や美容外科の先生方から刺青・タトゥーの削皮・剥皮の後療法などを聞かれますが、手術手技の良しあしによって9割以上が決まってしまいます。

もちろん、このご時世・・傷口を洗えない、濡らせない、乾燥、消毒、ガーゼ、包帯などの単語が1つでも出てくるなんて・・前時代的な治療を続けている証拠ですので論外です。

最新の薬である成長因子(フィブラストスプレー)や創傷被覆材を使わないなんてことはありえません。

六本木境クリニックの刺青・タトゥー除去・削皮・剥皮をテレビの報道番組に取り上げていただいた時の画像、ミクロ単位の皮膚の厚みや墨の深さの読みが最も大切なことです。画像はフリーハンドデルマトームの削り幅の調整を行っているところ

 

刺青・タトゥーの削皮・剥皮は早く終わる手抜き手術ではありません。1時間で終わるような手術方法は危険です。わたくしは以前、4~5時間かけて削っていましたし、700例くらい経験を積んだ現在でも、2~3時間かけて手術を行っています。画像でも疲れているのが分かりますよね。短時間で適当に行うと確実に失敗する手術が刺青やタトゥーの削皮・剥皮です。他の医師が行うとしたら、やはり以前、わたくしがかけていた以上、5時間くらいかけて丁寧に行ってほしいものです。

 

刺青・タトゥー除去についてはこちら

https://tatoo-jokyo.com/

 

https://roppongi-sakai-clinic.com/guidance/tattoo/

 

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