ケロイド状の傷跡には、ケロイドと肥厚性瘢痕とがあります。

ケロイドと肥厚性瘢痕、両者の鑑別は玄人でも難しいものですから、一般の方は「似たようなもの」とだけ思っていただいてもいいかと思います。

でも、手術などの結果できた汚い傷跡は肥厚性瘢痕、自然発生的に、胸や肩にキノコのようにニョキニョキ生えてきたものがケロイドだと思っていただいてほぼ間違いないと言えます。

肥厚性瘢痕などケロイド状の傷跡を見たことがない人やいまいちピンとこない方は、赤黒く盛り上がって、テカりが強く、芋虫みたいな肌、恐怖映画やテレビドラマなどに出てくる酷いやけどの汚い傷跡などをイメージしていただければ、ほぼ間違いないでしょう。

特に中年男性が刺青やタトゥーを除去したい場合、
「男なのでどんな傷跡になってもいいんです。とにかく刺青(タトゥー)を取りたいんです。」
とおしゃることがあります。

また、医者も
「刺青(タトゥー)が取れたのだから、ひどい傷跡が残るのは当然でしょ。仕方ないでしょ」
と言うことがあるようです。

でも・・傷跡って、見かけと症状が確実に比例します。

他のクリニックで刺青・タトゥー除去手術を受けて、ケロイド状の傷跡(肥厚性瘢痕)になってしまい、痛み、かゆみ、ツッパリ感、絞扼感(タオルで思いっきり絞られたような感覚)などが強く、かゆくて眠れない、腕を動かすときに痛い、手のしびれが気になる・・・等々、日常生活やお仕事にも支障をきたしてしまい、大変なことになってしまったという方々が六本木境クリニックに実際に相談に来られています。

刺青・タトゥー除去手術では、傷跡をケロイド状(肥厚性瘢痕)にしないということが、最も大切なことの1つです。
当然のことですよね。

では、一般的にケロイドや肥厚性瘢痕というものは、どのような場合、どの辺りにできるものなのでしょうか?

ケロイドや肥厚性瘢痕とは、通常、肩まわり~上腕(二の腕)、胸など、関節可動域とその周囲が圧倒的に多く、もともと皮膚に余裕がない部位や大きく強く動かす部分、すなはち張力(テンション)がかかる部分に多く生じる傾向にあります。

張力(テンション)がかかればかかるほど、その張力(テンション)に比例して傷跡がケロイド状になりやすいということは、学会でも常識となっています。

余談ですが、形成外科医は皮膚切除手術を毎日のように行っていますが、9割以上は良性腫瘍の切除手術で、1cm前後の小さな皮膚切除が多いですし、形成外科以外の外科系の先生方の場合は、皮膚切除手術を行うこと自体、意外にも少ないというのが現状です。

さて、ここからが形成外科以外の外科系の先生方にとって、ピンと来ない内容のように思いますが、

皮膚を切り取れば切り取るほど、傷跡に大きな張力(テンション)がかかります。
そのため、大き目の刺青やタトゥーを切除すると、100%ケロイド状の傷跡(肥厚性瘢痕)になると言っても過言ではないでしょう。

皮膚は非常に伸びにくいので、大き目の刺青やタトゥーを何回かに分けて切除する、いわゆる「分割切除」は、非常に乱暴な手術と言えるのです。

また、形成外科医でも通常、皮膚ガンなどで皮膚を大きく切り取ると、あたりまえのように植皮や皮弁などで再建手術を行って皮膚などの組織を移植します。
部位によっては3~4cmのものでも再建手術を行います。

ガンなどの病気やけがの人に対しては、気の毒なので手間暇がかかる再建手術を。

刺青やタトゥーは自分で入れたものであって、文字通り自業自得なので、「無理やり縫い縮めて良い」「手抜きで良い」という考え方は非常に傲慢な考え方かと思います。

「酷い傷跡になっても、時間が経つと改善する」と思っている人が、素人にも玄人にも多いのですが・・

刺青やタトゥー除去のように、大き目の皮膚を切除してしまうと、傷跡に張力(テンション)がかかり続けますので、改善するどころか・・・

見た目の汚さと生じている症状はずっと続く傾向にあります。

大きな刺青やタトゥーを切除すると、肥厚性瘢痕(ケロイド状の傷跡)は必発するとい言っていいでしょう。

 

大き目の刺青やタトゥーを切除すると必ず肥厚性瘢痕となる。この大き目と言うのは誰もが考えているよりもずっと小さいから問題である。刺青やタトゥーの分割切除では、たとえ何回に分けたとしても小さめの刺青やタトゥーしか切除できないと言える。

 

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