先日、 関東の開業医の先輩方(形成外科専門医)数人とお話していて、 自分では気づかずに今まで当然のように行ってきた 「フリーハンド(フリーハンドデルマトーム)でタトゥーや刺青をとる・除去する」 ということが、実は非常に難しいことであるということに改めて気づかされました。 フリーハンド本来の使い方、タトゥーや刺青の削皮と似た手技であるやけどの植皮手術の採皮でも フリーハンドは難しくて普及していないようです。 フリーハンドは手の感覚が大切な道具で かなり使い慣れていないとまともには扱えない。 フリーハンドで刺青やタトゥーの削皮をするなんて、職人芸を通り越しているよ。 といった意味合いのお話でした。 単純比較できることではないのですが、 刺青タトゥーの除去手術は、墨の色や深さも様々で、 一様に入っているわけでもないので、非常に難しく、 理想的には逐一微調整が効いた方が良いと思います。 フリーハンドは慣れて上手く使いこなせると 手の感覚で上手く深さが微調整できます。 ちなみにフリーハンドの使い方は、 やけど治療で有名な北九州の迎先生から教えていただきました。 迎先生は、フリーハンドの使い方を 熱傷専門医講習会で教えるほど、フリーハンドの名手です。 わたくしは、北九州の病院に勤務していた当時、 土日もなく毎日がやけどの手術だったのですが、 この時、毎日のように体中を削った感覚が 今のタトゥー・刺青除去治療に生きています。 現在、物流の発達によって製造業は人件費の安い国に逃げ出し 工場なども減って、その分・・ひどいやけども減りました。 また、長年の啓蒙活動のおかげでお子さんのやけども減りました。 さらに、やけどの画期的な治療法も普及して やけどの手術自体が減っています。 やけど手術は、昔の10分の1に減ったような印象があります。 若いやけどや形成外科の専門医は手術経験を積む機会が少なくなっています。 6-13_曲芸 フリーハンドのタトゥー削皮は、職人芸を通り越している とのお声が先輩方からありました。