眼瞼下垂や眉下切開の保険適応

眼瞼下垂や眉下切開の保険適応の現状

近年、眼瞼下垂が注目を浴びるようになってきて、保険適応の眼瞼下垂の手術がたくさん行われるようになりました。

眼瞼下垂について注目が集まるにつれて、まぶたの皮膚のたるみも注目されるようになってきました。以前は二重ラインでの皮膚切除術、上眼瞼形成術がさかんに行われていましたが、

最近では、眉毛の下のところでの皮膚切除術である眉下切開・眉毛下皮膚切除術も増えてきているようです。

眼瞼下垂の手術では2mm以下しか目が開かない人が保険適応です。2mm以下とは誰がどう見ても目が開かない人ですので、「眼瞼下垂の手術や治療」をネット検索で探している世代の人では、99%以上が保険適応ではないということです。

でも、本当はルール違反なのでしょうけど・・美容っぽい眼瞼下垂や眉下切開の手術を保険適応で受けたという話も多いです。

そして、昔の感覚ですと・・保険適応で眼瞼下垂や眉下切開の手術を受けたら、「目が開いたらOK」「見かけの問題や左右差は美容外科に相談してね」なんて、言われそうな感じですよね。

でも、最近では保険適応で行っている先生も眼瞼下垂や眉下切開の手術ではただ単に目が開くことだけじゃなくて、見かけなど美容的な要素も大切だと認識されているようです。

実際の手術結果については、一概に自費の美容外科のほうがクオリティーがいいとは言い難く、保険適応で美容外科的に上手くやってくれる医師もいるかもしれません。

そして、個々の医師や医療機関によるクオリティーの差・特に見た目の差はたいへん巨大でして、保険診療・自費の美容外科ともにハッキリ言って・・ピンからキリまで、百点からマイナス百点までだと思います。

眉下切開や眼瞼下垂のわたくしの経験から

わたくしは20年前から眼瞼下垂の手術・上眼瞼形成術など二重ラインの手術、12年前から眉下切開を行ってきました。

そして、10年くらい前から眼瞼下垂の手術や二重ラインでのまぶたのたるみ取り:上眼瞼形成術のほうが変な目になっている確率が高いと思い・・できるだけ眉下切開を優先させるようになりました。

下記はわたくしが約20年前に行った保険適応の眼瞼下垂の手術、当時、患者さんからモニター承諾をいただいた症例です。

うすくてしなやかな皮膚を切り取りすぎて、1年経ったけど腫れが引かないと言われました。

実際に二重ラインの上に乗っかっているまぶたの皮膚がボンレスハムのような状態になっています。

何年経っても腫れが引かないのは当たり前ですよね。腫れじゃなくて皮膚の厚みですので、引くはずもありません。

眼瞼下垂の手術の目的・利点

眼瞼下垂の手術では目の開きがよくなり、モノがよく見えることやそのことによって、ひたいの力が抜けて肩こりや頭痛が減るという話もあります。

もちろん、美容外科や形成外科自費診療での眼瞼下垂の手術は目が大きく見える、若返って見える、目力が出るなど整容的な意味合いで受けることが多くなります。

わたくしは眉下切開押しの医師ですが、どうしても眼瞼下垂の手術が必要なケースがあります。でも、その割合がとても少ないと思っています。

眼瞼下垂の手術のリスク・合併症

眼瞼下垂の手術のリスク・合併症などは、内出血・腫れ・痛み・違和感などが挙げられます。また、わたくしの経験上、感染を生じたことは一度もありませんので、感染のリスクについては強調しなくていいと思います。

その一方で、リスク・合併症ではないのですが、眼瞼下垂の手術の場合、二重ラインで皮膚を切り取りすぎると、二重の上に乗っかるまぶたの皮膚が分厚くなり、何年経っても腫れて見えるということになってしまいます。

そして、挙筋前転法で前転しすぎるとビックリ目やパッチリ目になったりすることが多いと言えます。ともに、他人から見ると完全なる整形顔だと思われます。そのような高い確率で生じる不具合・欠点についてはリスクのところに挙げなければならないと思います。

眼瞼下垂の手術をたくさんやっている医師がよく言う「眼瞼下垂の手術を受けると、パッチリ目になるよ・クッキリ二重になるよ」といった場合の、パッチリ目ビックリしたような目のことで、クッキリ二重とは整形顔の二重のことが多いです。

眉下切開の目的・利点

眉下切開も上眼瞼形成術と同様にまぶたの皮膚のたるみを切り取る手術ですし、眼瞼下垂の手術と同じように目が開きやすくなるための手術でもあります。

上眼瞼形成術のように二重ラインで皮膚を切り取るような手術、または眼瞼下垂の手術でも二重ラインで皮膚を多めに切り取るとうすくてしなやかな皮膚がなくなります。よって、眼瞼下垂の手術や上眼瞼形成術では、厚ぼったい皮膚で二重ラインができて、別人の顔や整形顔になることが多いと言えます。

一方、眉下切開ではうすくてしなやかな皮膚を切り取らないので、そのような結果にならないことが最大の利点です。

眉下切開と上眼瞼形成術は切る場所が違うだけで、まぶたの皮膚のたるみを切り取るといった同じ目的の手術ですので、眉下切開を上手く行うことができれば、眉下切開を受けた後で上眼瞼形成術が必要となるケースはほとんどないと言えます。

でも、眉下切開は皮膚のたるみを切り取る手術で、眼瞼下垂の手術は腱膜のゆるみを治す手術です。

眉下切開後でも眼瞼下垂の手術は必要となることが結構ありそうに思えます。実際に以前、わたくしは眼瞼下垂がある人には眉下切開+眼瞼下垂の手術をすすめてきました。

その後、眉下切開の手術と眼瞼下垂の手術の両方が必要なケースでも、眉下切開の腫れが引いてから眼瞼下垂の手術を行ったほうが最終結果が良いことと、眉下切開単独手術を希望される人が多かったこともあり、まずは眉下切開の単独手術を行うことが多くなってきました。

そして、何と・・あきらかに眼瞼下垂気味の人でも、眉下切開だけで十分な改善が得られることが多いことにわたくしもビックリしています。

でも、よく考えたら当然のことなのかもしれません。まぶたの重みは大きな開瞼抵抗の1つでもあります。眉下切開でまぶたの重みが減ると眼瞼挙筋に対する負荷が減って、目を開けるのが楽になりますよね。

わたくしが全く眼瞼下垂の手術自体必要ないと言っているわけではありません。

たとえば、まぶたのたるみ群(上眼瞼皮膚弛緩症と眼瞼下垂など)に対して現在、眼瞼下垂の手術6割、上眼瞼形成術3割、眉下切開1割と言った感じで行われているように思いますが・・

本当に適切なのは眼瞼下垂の手術の手術1割、上眼瞼形成術0割、眉下切開9割なのではないかって、わたくしは思っています。

眉下切開のリスク・合併症

眉下切開のリスクや合併症については、眼瞼下垂の手術と同様、内出血・腫れ・痛み・違和感などの知覚症状が挙げられます。また、わたくしの経験上、眉下切開感染を生じたことは一度もありませんので、感染はあまり強調する必要がないと思います。

でも、他院眉下切開後相談で多いのは、一般的にどんな手術でも起きるそのようなことではありません。実際の相談のほとんどはキズや傷跡が目立つことや、引き連れたり変な線が入ったり吊り目になっていること、またはその両方です。

そのクリニックの眉下切開で眉頭の傷跡が目立っている人が多いのでしたら、そう説明しなければなりませんし、

そのクリニックの眉下切開でまぶたがヒキツレて吊り目になったり変な線が入っている人が多いのでしたら、リスクとしてきちんと説明しなければならないと思います。

受ける人は内出血・腫れ・知覚症状・感染などのどんな手術でも起きそうな一般的リスクを聞きたいのではなくて、その施術やその先生の施術固有のリスクを一番聞きたいのです。

 

眉下切開についてはこちら

https://www.problem-eyelid.net/

 

https://roppongi-sakai-clinic.com/guidance/eyelids/

 

https://roppongi-sakai-clinic.com/faq_mayushita/