刺青・タトゥーの剥皮と言う言葉があるそうです。
刺青・タトゥー除去での「剥皮」と「削皮」という言葉について考えてみたいと思います。

たぶん、皮膚剥削術・削皮のことを間違えて剥皮と誰かが使い始めたのだろうと言えます。
ただの誤用かもしれませんし、誰かが意図的に広めたのかもしれません。

言葉本来の意味に忠実に考えて、厳しい言い方をすると、刺青・タトゥー除去では剥皮はだめで、本当は削皮しかいい結果はありません。

剥皮は動物の皮をむくときに使用される言葉で、刺青やタトゥーを死んだ人からはぎとるような行為はこの言葉が正解です。

「剥皮」と言うニュアンスを刺青・タトゥー除去治療の分野に当てはめてみると、セッシで持ち上げてメスやハサミで皮をむいて行く行為です。
このような手技で皮膚を剥かれると、皮膚全層欠損かそれに近い状態となってしまいます。

そのため、いわゆる「剥皮」では100%必ず上皮化が悪くて何か月も浸出液が続き、かならず肥厚性瘢痕と言って赤く盛り上がったかゆい汚い傷跡となります。

一方、「削皮」は文字通り、削るということです。
わたくしの場合にはフリーハンドデルマトームというやけどの手術道具やカミソリで削っています。
この方法ですと、ごく浅めに削ることから全層欠損になる深いところまで削ることができます。

でも、自由度が高い分、自由自在に削れるような医師とそうでない医師との技術の差が出やすいです。
下手に削ると剥皮と同じ状態になってしまいますし、上手く理想的に削ると2週間で上皮化して比較的きれいな傷跡となります。

ちなみに技術の差が出にくいものにレーザーというものがありますが、レーザーや電気メスで削ると熱損傷が生じるので、見た目よりも深めになってしまいます。

削皮で用いられるレーザーはピコレーザー・ヤグレーザー・ルビーレーザーなどではなくて、エルビウムレーザーや炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)です。

わたくしはセッシでつまむ行為は相当に注意しないとすごく深くなってしまうので、セッシで処理するのはペラペラのささくれだけにしています。