わたくしはカウンセリングの際、
リスクや合併症の説明に終始してしまうクセがあります。

以前、総合病院の形成外科に勤務していた頃、
静脈麻酔を多用していたのですが、
手術中に意識がない状態で動くと非常に危険である
と、経験を通して学びました。
そして、特に眉下切開やスプリングスレッドなどの顔の手術では静脈麻酔は極力使用せず、
局所麻酔で手術する方が安全であるという考えに至りました。

スプリングスレッドのカウンセリングの際にも
そういった話や、局所麻酔の大変さや、
でこぼこ、感染の話などを詳しくお話しています。

「悪い事ばかり話しますね・・・」
と、患者さんによく言われるのですが、

カウンセリングでの医者の役割とは、
起こりうるリスク、合併症やその対策を詳しく説明する
ということのはずです。

良いことばかり話すというのは
宣伝広告のキャッチフレーズだけで十分です。

リスクや合併症の話をしない医者は恐ろしいです。

しかし、リスクを分かっていても、
売上のためにあえて話さない、いわゆる嘘つきの医者は、
まだマシであり、害は少ないといえるでしょう。

もっと格段に恐ろしいのは、
リスクが存在するということを理解していない医者です。
これは、ほとんど恐怖映画の世界です。

孫子の言葉にも「彼を知り己を知れば百戦危うからず」
というのがあります。

リスクや合併症について認識が甘いということは
対策を取ることが全然できないということになりますので
まず、ひどい目に会うでしょう。

君が代にも出てくる さざれ石。
よく分かりませんが、なぜかありがたい。