フェイスリフトの名医3(切るフェイスリフトと糸)

切るフェイスリフトの名医

フェイスリフトの名医と言う話ですと、以前では部位手術方法別に解説されているものが多かったのかもしれません。

でも、最近では切るフェイスリフトがどんどん少なくなっているようです。このことは切るフェイスリフトをたくさんされている先生方が学会でも言われていることなので、相当に深刻なようです。

その一方で、切るフェイスリフト剥離範囲がだんだん縮小傾向になるとともに、糸のリフトアップ施術や脂肪吸引・脂肪注入などを併用しているケースが以前から増えていました。

最近では糸のリフトアップ施術・糸のフェイスリフトがたいへん多くなっているようです。

去年行われたJSAPS(形成外科系の日本美容外科学会)による美容医療実態調査では、糸のフェイスリフトが94%以上であり、切るフェイスリフトは5%台だそうです。年々減っているそうなので、今年の調査では5%を切っているかもしれません。

そこで、全体の95%近くを占める糸のリフトの話を中心にフェイスリフトの名医について考えて行きたいと思います。

糸のフェイスリフトの名医

糸のフェイスリフトの名医の条件を考えた場合、まずは無差別級のように溶ける糸溶けない糸も含めて考えてみたいと思います。そして、名医の条件を考えた場合、下記のようなものが挙げられます。

  • 症例数
  • 効果・持続期間
  • ダウンタイム
  • 安全性
  • 施術できる糸の種類が豊富

糸のフェイスリフトの症例数

通常、多施設間やたくさんの医師で症例数を比較検討することは簡単ではありません。

でも、糸のフェイスリフトの場合、輸入会社や販売会社に購入数を聞くことで症例数を推測できます。たくさんやっているように見せたいからと言って膨大な糸の在庫を抱える人はいませんので、かなり正確だと思います。

そして、そのことによって気付かされる圧倒的な事実があります。その事実とは、溶ける糸のほうが溶けない糸よりもけた違いに施術数が多く、症例数に関しては溶ける糸の圧勝だということです。

かと言って、溶けない糸よりも溶ける糸のほうが全てにおいてすぐれているから・・たくさん使われているわけではありません。

糸のフェイスリフトの効果・持続期間

溶けない糸のほうが溶ける糸よりもずっと優れている面は、受けた人が感じる効果とその持続期間です。溶ける糸の欠点はまさにこの点にあり、そのことは溶ける糸にたずさわっている多くの医師も強く認識しているようです。

そして、溶ける糸は加水分解されるまでの期間が長くなるように進化し続けています。ある意味・・溶ける糸も溶けない糸に近づくように進化してきたわけです。

現在ではPCLやPLAといった加水分解されるまでに2年くらいかかるような素材の溶ける糸が開発されています。

溶ける糸の場合、溶け始めても補完的にコラーゲンが補ってくれるのでずーっとリフトアップされたままです・・などと説明されるケースもあるようですが、そのようなことはありえません。

お顔のように重いものがコラーゲンでリフトアップできるはずはないので、溶け始めるとどんどん抗張力が落ちて効果がなくなって行きます。

糸のフェイスリフトのダウンタイム

溶ける糸でお肌の引き締め・スキンタイトニング効果だけをねらった場合、ダウンタイムはとても短いようです。

しかし、溶ける糸でリフトアップ効果をねらう場合、効果が落ちてきたときの後戻りを計算に入れて、過矯正と言って無理やり不自然にひきつれさせなければなりません。

過矯正が足りない場合には実感できる効果の持続期間がとても短いので、致し方がないと言えます。

わたくしはスプリングスレッドのように効果の持続期間がたいへん長くて後戻りが少ない糸を上手く入れた場合、ダウンタイムが一番短くなると考えています。

医師による糸のフェイスリフトの安全性

フェイスリフトの安全性について考えた場合、一概に切るフェイスリフトよりも糸のほうが安全だとは言い難い面があります。

切るフェイスリフトは顔面神経や耳下腺導管など大切なものが走っているところを広範囲に切って剥離するわけですから、解剖による制約が強いことは誰にでも理解できます。

一方、糸は解剖学的な制約が少なく自由度が高いことが最大の利点ですから、解剖を熟知していない医師が解剖を考えず・やみくもに施術してしまっているケースがよくあります。

ベテラン美容外科医が、顔を専門にしていて、なおかつ解剖実習にも頻回に参加しているような場合、比較的安全性が高いでしょう。でも、何だか分かりにくいですよね。

その一方で、素人にも分かりやすいお顔の解剖に熟知した人達がいます。それは形成外科の専門医です。

形成外科医は顔面外傷・顔面骨折・頭頸部ガンなどに携わる機会が多く、ある意味・・若い頃は毎日が顔の解剖実習をしているようなものですから、1つの目安として、形成外科の専門医は顔の解剖に詳しいでしょう。

糸の種類による糸のフェイスリフトの安全性

そして、溶ける糸のほうが溶けない糸よりも安全性が高いことはある意味当然とされています。感染を例にとっても溶けない糸のほうが感染が多いとされています。

でも、何か問題が起きた時、「溶けるから待ってください」とまるで何事もなかったかのように、じっと待たされているケースが数多くあることも隠れた事実です。

わたくしは溶ける糸の感染を見たことはありません。きっと感染の確率は溶けない糸よりも少ないのでしょう。

でも、溶ける糸をたくさんされている先生方によると、溶ける糸が感染した場合には糸が溶けていて抜くことができないので、その症状が溶ける糸よりもずっとひどくて、すさまじいそうです。

きっと、赤く腫れあがって膿が出続け、コラーゲントンネルの部分が瘢痕拘縮をおこして、長期間ひきつれやデコボコが持続するのではないでしょうか?挙句の果てには糸に沿って不自然な色素沈着が残ったり・・何だか想像しやすいですよね。

溶ける糸・溶けない糸・・いづれにしてもお顔の解剖を熟知した医師のほうが安全性が高いと言えます。

施術できる糸の種類が豊富

いろんな糸を自由に使いこなせるような医師が糸のフェイスリフトの名医なのでしょうか?

わたくしにはとてもそのようには思えません。糸って本当に差がありますから・・良心的な医師でしたら、今一の糸を患者さんのお顔に入れることに躊躇してしまいます。

わたくしが良心的な医者かどうかは置いておいて・・わたくしもスプリングスレッドと溶ける糸の在庫を持って開院したのですが、溶ける糸が効果がないことをよく知っていたため、当院に来られたかたにすすめることができませんでした。そのため、溶ける糸の大量の在庫は倉庫に眠ったままになり、結局大量に破棄しました。

いろんなことを述べてきましたが、溶ける糸と溶けない糸はメリットやデメリットにおいて明確な違いがあるので、分けて考えたほうが良さそうだと言う結論に達しました。

次回は溶ける糸とスプリングスレッドに代表される溶けない糸について考えてみたいと思います。

 

スプリングスレッドについてはこちら

https://www.teachings-facelift.com/

 

https://roppongi-sakai-clinic.com/guidance/slack/spring/

 

https://roppongi-sakai-clinic.com/faq_spring/