眉下切開と眼瞼下垂の手術との現状

医学書などで眼瞼下垂の項目を見て見ると、いろいろなものが載っています。ひょっとしたら大学病院などではバラエティーに富んだ眼瞼下垂の人たちが来ているのかもしれませんけど、

実際に開業医が臨床の現場で遭遇する眼瞼下垂は次の2つのものばかりです。

一般臨床現場でよく見られる眼瞼下垂

  • 眼瞼下垂  = 腱膜性眼瞼下垂= 腱膜のゆるみ
  • 偽性眼瞼下垂= 上眼瞼皮膚弛緩= 皮膚のたるみ

上記の2つのうちのどちらが多いのかと言えば、下の偽性眼瞼下垂=上眼瞼皮膚弛緩=皮膚のたるみのほうがはるかに多いです。

そして、治療法は腱膜性眼瞼下垂が眼瞼下垂の手術、上眼瞼皮膚弛緩が眉下切開や上眼瞼形成術などまぶたの皮膚を切り取る手術とされています。

現在、眼瞼下垂の手術はたくさん行われ、眉下切開も増えてきています。眉下切開は傷跡が目立つと悲惨なためか、眼瞼下垂の手術と比較するとまだまだ少ないようです。

でも、実際にどちらの手術のほうがいいのかと言えば、眼瞼下垂の手術よりも上眼瞼形成術よりも、眉下切開がベターなことのほうがはるかに多いとわたくしは思います。

眼瞼下垂の治療法

  • 眼瞼下垂(腱膜性眼瞼下垂)  = 眼瞼下垂の手術
  • 偽性眼瞼下垂(上眼瞼皮膚弛緩)= 眉下切開、上眼瞼形成術

 

眼瞼下垂と上眼瞼皮膚弛緩(まぶたの皮膚のたるみ)の典型例

眉下切開の長所

眉下切開ではうすくてしなやかな皮膚を温存

眼瞼下垂の手術や上眼瞼形成術(二重ラインでのたるみ取り手術)などの問題点について先日詳しく述べました。まずは、それと対比するように眉下切開の長所について考えてみます。

通常の眼瞼下垂の手術や上眼瞼形成術とは異なり、眉下切開では二重ラインでうすくしなやかな皮膚を切り取りません。

そのため、眉下切開では二重ラインが厚ぼったい皮膚に置き換わったり、二重ラインにドッグイヤーができて、まぶたの内側がふくらんだり、まぶたの外側が垂れ下がったりしません。

(前回のブログ:眉下切開と眼瞼下垂の手術など(眼瞼下垂)を参照にしてください。)

眉下切開では二重付近のうすくてしなやかな皮膚を切り取らない
上眼瞼形成術は二重のところでうすくてしなやかな皮膚を切り取る。眼瞼下垂の手術も通常二重ラインで皮膚を切り取る。うすくてしなやかな皮膚を切り取ると厚ぼったい二重となる。

眉下切開では目じりのしわも改善

まぶたが開きにくいとき、代償性に前頭筋が働くことによって、ひたいのしわが目立つようになることが知られています。まぶたが開きやすくなると、前頭筋の力が抜けるのでひたいのしわは減ります

そして、眼瞼下垂の手術や埋没・切開など二重ラインの手術では目が開きやすくなるので、前頭筋で持ち上げられていた皮膚が下がります。

そのために眼瞼下垂の手術や埋没・切開など二重ラインの手術ではあたかも目じりのしわが悪化しているかのように感じます。

反対に眉下切開では目じりのしわの大きな原因の1つである眼輪筋を引き締めることができるので、目じりのしわも改善できます。

眉毛の外側に不自然に大きく切開線を伸ばさなくても眼輪筋は文字通りまぶたに輪状に存在しますので、ある程度引き締めることができます。

眼輪筋は弧状になっているので、切開線を極端に外側に長くしなくても、眉下切開では目尻のしわを改善できる。

眉下切開の欠点

眉下切開を長年たくさんやっていると、他院の眉下切開後の修正相談もたくさん来ます。

他院眉下切開後の修正相談は多岐にわたっているように誤解されがちですが、言い回しが多少違っているだけで、まるで申し合わせたかのように主なものは数種類しかありません。そして、およそ3つのものに分類されます。

眉下切開で外側を中心に切られていることに起因するもの

眉下切開で外側の皮膚だけを切り取られていると、まぶたは外側に強く引っ張られひきつれます。このような場合、ひきつれたような線が入ったり、吊り目になることが多いと言われています。

内側の皮膚がまるで大きな蒙古ひだができたかのように斜めに皮膚がかぶさり、まるで皮膚が余ったかのように見えることが多いようです。

特にまぶたの内側に走る斜めの線は高確率に出現し、程度が軽いものではまばたきのときだけハッキリと見えます。

そのためブログやインスタの写真や画像では分からず自分でも気が付かないので悲惨です。周りの人は全員変だと思っているけど口に出しては言えない状態となっているケースが多く見られます。

ちなみに、眉頭を切らない眉下切開後の修正相談では今まで100%全員この斜めに走る線が見られました。わたくしは、眉頭を切らない眉下切開では程度の差こそあれ、よく見ると全員にこの線があると考えています。

眉下切開で外側中心に切られると外側に向かって強く引っ張られ、ひきつれたようなまぶたの形になることが多い。

 

眉下切開で外側を中心に皮膚を切り取られると、まぶたの内側に斜めに走る変な線が入ることが多い。

眉下切開で内側・眉頭まで切られたことに起因するもの

一方、眉下切開で眉頭まで切られた場合の相談はもっとハッキリしています。

他人の顔を見る時ほとんどの人は上まぶたを見ています。上まぶたはいわば目のシャッター機能のほとんどを担っており、目の表情や合図の大変は上まぶたの動きです。しかも、目は口ほどにものを言うのですから、当然、他人の目線は上まぶたの中央あたりに集中します。

このため、眉頭の傷跡が目立つととても悲惨でして、特に眉頭から下に離れた傷跡は異様な雰囲気に見えると言います。

他院眉下切開後修正相談では眉毛の下に傷跡が離れて目立つという話が多い、特に眉頭側の傷跡が眉毛から離れて目立っている人は深刻そうである。

眉下切開を何度やっても傷跡がキレイにならない医師による工夫?

  • 中縫いがきつすぎてギャザーがよったような外観になっているもの
  • テープを貼らさせられて眉毛が薄くなり、かえって傷跡が目立った
  • 傷跡にレーザー治療をされて眉毛が薄くなり、かえって傷跡が目立った
  • キズを安静にすると傷跡がきれいになると言われ、ボトックスを打たれた
  • 手術後、薬をまるで言い訳のように塗るように言われた
  • 手術後、薬をまるで言い訳のように飲むように言われた
  • 再生医療的な高い治療をすすめられた

眉下切開後や眉下切開で傷跡が目立ったときに、テープ・レーザー・ボトックス・外用薬・内服薬・再生医療・・それぞれを提案されたという話はどれも多く、いろんな手を尽くして傷跡をキレイにしますというのはキレイに切って縫えないことへの言い訳に過ぎないと思います。

そして、そのような表現を用いているケースでは眉下切開の傷跡に自信がない場合が多いので、要注意です。

眉下切開と眼瞼下垂の手術の今後の展望

眼瞼下垂の治療法は眼瞼下垂の手術で、まぶたのたるみの治療法は眉下切開や上眼瞼形成術などまぶたの皮膚を切り取る手術だとされています。

わたくしは二重ラインで皮膚を切り取る方法・いわゆる上眼瞼形成術や眼瞼下垂の手術でも二重ラインで皮膚をたくさん切り取ると、不自然な顔貌になりやすいと考えています。

そのため、皮膚のたるみのある人は眉下切開、明らかに腱膜のゆるみの方が強い人には眉下切開+眼瞼下垂の手術を行ってきました。

でも、六本木境クリニックでは眼瞼下垂があってもまずは眉下切開単独手術を希望される人が多く、その多くで不思議なほど眼瞼下垂が改善することに気付きました。

眉下切開を受けるとまぶたの重みが減ってまぶたの開き自体が良くなる人が多いようです。

そして、効果がマイルドであった場合でも、別人顔にならずに目の開きがよくなった、バレなかったけど自分では満足したなどと、とてもよろこんでもらえています。

眉下切開の適応は本来もっと広い可能性があります。

次回は眉下切開の傷跡について詳述します。

 

眉下切開についてはこちら

https://www.problem-eyelid.net/

眉下切開についてはこちら

上まぶたのたるみ 総論/まぶたのたるみ(Part1)

眉下切開に関するよくある質問